最北端離島に高速通信網 国営テレビ・ラジオ放送も開始 北スラウェシ州ミアンガス島

 インドネシア最北端の離島、北スラウェシ州タラウド諸島県ミアンガス島で、高速データ通信が可能な第4世代移動通信規格(4G)の試験導入と国営テレビ放送局(TVRI)、国営ラジオ放送局(RRI)の放送が始まった。ルディアンタラ通信情報相が7月31日、発表した。

 ルディアンタラ通信情報相は31日、同島での発表式典に出席し、「経済的な地域格差を改善する義務がある」と説明。島内の市民連絡グループ(KIM)にも触れ、政府と住民との円滑な情報交換を期待すると述べた。
 同島では昨年10月、新空港が開設され、開港式典でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は安全保障上の重要拠点であることを強調。さらに軍・警察はことし6月、過激派組織イスラミック・ステート(IS)関係者の密入国ルートに使われている可能性があるとして、同島を含む北スラウェシ州3島に約200人を配置、警戒を強めている。
 通信情報省によると、4G導入は、通信情報融資準備・管理庁(BP3TI)のユニバーサルサービス義務(USO)の枠組みで、通信大手テルコムセルの2G用基地局を4Gに対応させることで可能になった。ミアンガス島の陸軍駐屯地、学習施設のルマ・ピンタル、職業訓練校(SMK)、RRI支局、波止場、中心部の広場で試験的に4Gが利用できる。
 また放送開始に伴い、島内全土でテレビ12チャンネル、ラジオ300局が視聴できるようになった。ラジオはこれまでフィリピンなど周辺地域の放送しか入らなかったという。
 ミアンガス島は、広さ約3.2平方キロメートル。人口は763人。フィリピン南部ミンダナオ島までは最短距離で89キロで、約490キロ離れている北スラウェシ州の州都マナド市より断然近い。
 通信情報省はことし、同島のような辺境地に基地局419局を建設し、年内に800カ所でインターネットサービスを開始する予定。7月までにすでに140局を設置、運用を始めた。
 ラジオ放送網も広げており、7月31日には、西ヌサトゥンガラ州ビマと東ヌサトゥンガラ州ロテ島、西カリマンタン州サンガウ県、バンカブリトゥン州ブリトゥン島でもRRIの支局がそれぞれ開設した。(中島昭浩)

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