丁寧に積み上げる MMKSI 近藤恭哉社長

 三菱自動車ブランドの乗用車、軽商用車の輸入、販売を行うミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)がことし4月、三菱商事、三菱自動車、クラマ・ユダによって設立された。新会社の社長に就任したのは近藤恭哉(50)さん。今後の抱負について聞いた。
■海外を舞台に20年 
 学生時代から海外を旅することが好きな近藤さんは、海外を舞台に働きたいという夢を持ち三菱商事に入社した。自動車事業本部に配属となり、1990年のタイに始まり、フィリピン、タイ、マレーシア、タイと、通算20年の海外勤務。インドネシアへの赴任について、「当地の三菱自動車47年の歴史の中でも一番大きなプロジェクト。期待が大きく重圧はあるが、その分やりがいも大きい」と語る。 
 新会社は立ち上がったばかり。連日の会議や打ち合わせなど多忙を極める。その上で、地方を回ったり、市場特性を把握するなど勉強したいことも多い。「三菱自動車のインドネシアでの新しいチャプター(章)の始まり。一つ一つを丁寧に積み上げていきたい」と語る。
■ギャップを埋める 
 近藤さんは入社から28年間、海外での自動車のマーケティングと販売一筋。フィリピンでは、新会社の販売とマーケティングの統括者として立ち上げを手掛けた。「開発サイドや生産サイドが思いを込めて作った車の価値を、いかにきちんとお客様に伝えていくか。それができれば、車は認識され評価され、売れていく」と近藤さん。立ち上げに関わったモデルの販売初日、「店が人でいっぱいで身動きがとれない」と感激したディーラーから電話があった。 
 「期待されているものと提供するもの、そのギャップを埋め、最適を提供する。それを実現するのが、マーケティングや販売の仕事の存在価値」と語る。 
■お客様にフォーカス 
 20年の海外ビジネスで心掛けてきたのは、謙虚であるということ。「自分の国でないところで仕事をさせてもらっている。それを常に意識するようにしている。謙虚過ぎてまずいことなんてない。その国のためになることは何か、今やっていることは、その国の人の幸せに繋がるのか。常に、お客様にフォーカスすることを考えるようにしている」と言い切る。 
 「将来的に、製造は製造の技術を、販売やマーケティングはそのノウハウを、この国の人々に伝え任せる時代が来る。この国に、そして、この国で生活する人々に貢献する。その意識をぶれずに持つ会社にしていきたい」。
 こんどう・きょうや 89年、一橋大学社会学部卒業、三菱商事に入社、自動車事業本部配属。以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に一貫して自動車のマーケティング、販売を担当。96〜98年フィリピン、98年〜03年タイ、04〜09年マレーシア、10〜16年タイ。16年より三菱商事本店自動車事業本部、自動車アセアン・南西アジア部長を経て、17年4月より現職。67年北九州市生まれ。趣味はトライアスロン。(太田勉、写真も)

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