高架下住居を強制撤去 公園駐車場として利用へ 北ジャカルタ
ジャカルタ特別州政府は14日、北ジャカルタ・プンジャリンガン郡プジャガランにある首都高速高架下の違法住居150棟、店舗14軒の撤去作業を始めた。約2週間で終わる予定で、さら地になった高架下一帯は、カリジョド公園の来訪者用駐車場として利用する案が出ている。
撤去が始まったのは14日朝。作業員や国軍兵士、警官らがダンプカー十数台と共に現れ、撤去作業に取りかかった。地元メディアによると、撤去部隊は総勢1600人前後だった。
6月上旬、州政府がレバラン(断食月明け大祭)前の撤去を宣言していたためか、13日までに自主退去したり、既に家財道具をまとめていた住民が大半。強制撤去に抗議する住民はおらず、作業開始から約8時間後の午後3時ごろ、住居や店舗の取り壊しは完了した。
北ジャカルタ区によると、作業は今後も続き、廃材などの完全撤去には2週間ほどかかるという。
立ち退き対象になった住民らには、公営住宅(ルマススン)などの移転先を州政府から提供されていない。
2007年から、母親と妹とともに同高架下で暮らしてきたというアディさん(29)は、壊された家屋の廃材近くに座りながら、「みんなが実家に帰ったりするこの時期に私は家もない、帰るところもない。借家に入るにも、月額50万ルピアの家賃を払えない」と話した。
今回、住居が強制撤去された首都高速の高架周辺は、置屋街から生まれ変わったカリジョド公園の西側に隣接している。高架下から同公園までは徒歩数分で、州政府は高架下を公園来訪者用駐車場として利用するため、高速運営管理会社ジャサ・マルガと協議を進める。(上村夏美、写真も)