お家騒動が過熱 追放命令、告発、軟禁 ソロのススフナン王家 警官隊出動で観光に影
中部ジャワ州の古都ソロ(スラカルタ)のススフナン王家で、王位継承問題に端を発したお家騒動が過熱している。3月以降、王のパクブウォノ13世が自身に反発する王族の追放を命じれば、反対派の王女側は違法に直属部隊を新設したとして父親の同13世を裁判所に告発。4月に入ってからも、戴冠記念式典をめぐるトラブルで警官隊が出動、王宮に観光客が入れなくなるなど影響が広がっていた。
王位継承をめぐっては、前王パクブウォノ12世が死去した2004年以降、長男ハンガベヒ王子と弟のテジョウラン王子が対立したが、12年に和解が成立。ハンガベヒ王子が現在の王パクブウォノ13世となった。
しかし、その後も王位継承への不満はくすぶり続け、本来なら王家を補佐する立場にある慣習評議会が14年になって、同評議会や王家の慣習を無視したとして、パクブウォノ13世からの王位剥奪を決定。王族の一人を代理王に据え、王宮が二分される事態となった。
これに対し、パクブウォノ13世は評議会決定を無視して対抗。ことし2月には、直属の特務部隊「パンチャ・ナルンドラ」を新たに設置した上で、翌3月、反対派の王族追放を指示した。4月に入ってからは、特務部隊新設を違法として裁判所に告発した王女を王宮内で軟禁するに至った。
事態をさらに悪化させたのは、4月22日に開かれた戴冠記念式典をめぐるトラブルだった。同式典の開かれる大広間は監修評議会と王女らの派閥が管理し、王の居住エリアと大広間を隔てる壁やフェンスも設置された。
このため、13年を最後に王が式典に臨席できない状態が続いてきたが、ことしの式典前には王直属部隊が広間へ通じる壁やフェンスを撤去した。王側の実力行使を受け、王女や慣習評議会側は「文化財である王宮の一部を破壊し、窃盗目的で宝物を勝手に移動した」として警察に通報、警官隊や治安部隊が王宮に立ち入る騒ぎへと発展した。
観光地である王宮や博物館などが度々閉鎖され、観光ツアーが中止されることもあり、骨肉の争いによる影響が出ていた。(毛利春香)