「アホック知事に一目会いたい」 記念撮影に長蛇の列 花で埋まる州庁舎

 「アホックさんにありがとうを伝えたい」――。昨年、アホック知事に抗議するデモ隊で埋まったジャカルタ特別州庁舎が、支持者から届く花輪と、「知事に一目会いたい」という人たちであふれている。同州知事選に再選出馬し、決選投票で敗北確実となったアホック知事も連日、写真撮影などに応じている。

 州政府によると、花輪は決戦投票から6日後の25日ごろから届き始め、総数は28日に4200を越えた。同日午後1時ごろの州庁舎には、収容できなくなった花輪を運び出すトラックが何度も出入りしていた。今後は、モナス(独立記念塔)広場を取り囲むように花輪を並べていくという。
 西ジャカルタ区チュンカレン在住の主婦のリアさん(36)は、ローマ字で「心の友」と書いた花輪を100万ルピアで主婦仲間と一緒に購入し、贈った。インドネシア人の大半が知っている五輪真弓さんの曲「心の友」の意味を知り、ぴったりだと思い選んだという。
 リアさんは「選挙で負けてしまって悲しいけれど、きちんと感謝を伝えたい。アホックさんは心に残るリーダーなの」と語る。一方で、花輪が集まることについては「ちょっとした流行現象と思う」と話した。
 同知事の政策に反発する州民からも花輪が届いた。緑地化政策で強制撤去が実施された、北ジャカルタ区プンジャリンガン郡ルアル・バタン村のパサールイカン地区の住民らは28日、「私たちが移転しないよう選挙公約を破ってくれてありがとう」と知事を皮肉ったメッセージを書いた花輪を州庁舎に送った。
 一方、アホック知事自身は始業前や公務の合間などに1日数回、訪れる支持者との写真撮影に応じている。州庁舎内には撮影用の広間が設けられ、知事との記念撮影を終えた支持者は2500人を超えたという。
 28日午後も庁舎入り口前には、整理券を手に撮影の順番を待つ人の列ができたが、午後2時前に「アホック氏は仕事に戻るので締め切ります。次の予定はいつになるか分かりませんが、我慢してください」とアナウンスが入ると、あちこちから落胆の声があがった。次回は5月1日午前9時から撮影会を実施する予定という。
 記念撮影に訪れたユハナさん(64)は「アホック知事の大ファン。こんな知事はこれまでいなかった。感情的になって言い過ぎるところは弱点だけれど、まともな仕事をしてジャカルタを変えた人だ」と話した。(毛利春香、写真も)

「アホック特需」 花屋さん大忙し 花市場ラワブロン

  ジャカルタ特別州知事選の決選投票で落選確実となったアホック現知事に謝意を伝えようと、支持者らから花輪が続々と届いていることを受けて、西ジャカルタにある花市場ラワブロンでは花輪の注文が急増、従業員らは大忙しだ。
 花屋従業員のフィルマンさん(26)は「19日の決選投票終了後、日に日に花輪の注文が増え、ここ一週間は売り上げの4割がアホック氏への花輪だ。これからも増えるだろう」と話した。
 通常、同店で作成する花輪は1日当たり三つ程度だが、28日は倍以上の七つ。うち六つは知事向けで、モナス(独立記念塔)広場周辺などに届けた。
 同市場内で花屋を経営するアボン・ドニーさん(50)は、花輪の注文が続くことから知事人気の高さに驚いたという。注文数は24日から急増し、28日だけでも10の花輪を作成。一番高い150万ルピア程度の花輪もよく売れている。
 花輪作成は2〜3時間で終わる。しかし、配達に時間がかかるため、実際に届くまでは注文から4日ほどかかるという。(上村夏美、写真も)

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