観光競争力42位へ上昇 WEF調査 インフラ整備、環境保護が課題
世界経済フォーラム(WEF)がまとめた2017年の旅行・観光競争力ランキングで、インドネシアが136カ国・地域のうち42位と、15年の前回調査の50位から8ランク上昇した。項目別では「価格競争力」で5位となったほか、豊かな自然やビザ(査証)免除などが評価された。一方、インフラ整備や環境保護などが今後の大きな課題となりそうだ。
旅行・観光競争力の調査では、事業促進環境(5項目)▽旅行・観光政策と促進(4項目)▽インフラ(3項目)▽自然・文化観光資源(2項目)の4分野、計14項目があり、14項目はさらに90項目に分かれている。07年の調査開始以来、2年に1回発表されている。
14項目別でインドネシアは「旅行・観光の優先度」で12位、「自然観光資源」で14位、「国際的な開放度」で17位につけた。一方、最も低評価だった項目は「環境持続可能性」で131位、また「健康・衛生」では108位となった。
90項目と合わせて見ると、ビザ免除の措置を受け、「査証の免除度」では2位となり、「国際的な開放度」では15年の55位から大幅に上昇したが、インフラ整備状況の項目では96位、宿泊先の提供率は93位で、移動手段と宿泊先の整備が求められている。
またインドネシア政府は豊かな自然をアピールしているが、「絶滅危惧種の割合」では127位、「森林被覆率の変化」が113位、「排水処理率」では109位となっており、自然環境の維持・管理・保護の項目では低評価となった。
アリフ・ヤフヤ観光相は「上位30カ国に入ることを目指す」とし、競争国としてタイやマレーシアを例に挙げ、「インフラ整備やICT(情報通信技術)の活用、衛生面などインドネシアの観光が抱える弱点を改善していく」と話した。
1位には、前回から引き続きスペインが選ばれた。2位フランス、3位ドイツで、4位が前回15年の9位から上昇した日本が入った。東南アジア地域では上位から順にシンガポール13位、マレーシア26位、タイ34位、スリランカ64位、ベトナム67位、フィリピン79位、ラオス94位、カンボジア101位となった。
WEFは、東南アジアは自然観光資源が豊かなだけでなく価格競争力が最も高く、観光開発にも注力しており、ビザ緩和でさらに旅行客を誘致できるとしている。一方、インフラやICTの準備が遅れていると指摘。環境持続が困難なことや不安定な治安も懸念材料とした。
WEFによると旅行・観光産業の経済規模は16年、世界全体の国内総生産(GDP)総額の10・2%に当たる7兆6千億ドルに上り、約2億9200万人の雇用を創出している。(毛利春香)