観賞魚産業振興に注力 法整備で輸出促進へ 海事調整省 日本などと協力も
海事調整省は23日、観賞魚産業振興に注力する計画を明らかにした。種類や輸出量の調査に加えて、技術や品質、価格、養殖、輸出入手続きの法整備などを進める。さらに、日本やシンガポール、マレーシアなどと協力し、観賞魚展示会などのイベントを開催、輸出にも力を入れる。
同省によると、インドネシアの観賞魚の輸出額は2009年の710万ドルから、13年には7千万ドルまで増加した。09年時点の世界シェアは7%で、シンガポールとマレーシアに次ぐ第3位だった。
しかし、シンガポールやベトナム、パキスタン、カンボジアなどと比べ、インドネシアの輸出手続きは複雑で、輸送コストも高い。
養殖技術が乏しく、大量生産が難しいことや、梱包、検査方法など空輸の体制が整っていないことが輸出を妨げ、「13年以降、輸出額は減少傾向が続いている」(海事調整省関係者)という。
■にぎわう観賞魚市場
中央ジャカルタ区メンテンのスメネプ通りにある淡水魚観賞魚の市場では、通り沿い約250メートルにわたって所狭しと店が並ぶ。モスクを境目に北側はコイなどの淡水魚、南側は海水魚に分かれており、週末には地元の人から外国人まで多くの人が訪れる。
バリ島産の熱帯魚を扱う店では、横180センチ、高さ60センチほどの水槽が10ケースほど並び、ディズニー映画で有名になった「カクレクマノミ」や「ナンヨウハギ」など、色とりどりの熱帯魚やイソギンチャク、ヒトデなどが並ぶ。値段は1匹1万〜25万ルピア。
従業員によると、魚はバリ島からバスを使って約20時間かけて運ぶ。1回当たりの運送コストは15万ルピアほどだが、離島などから飛行機で運ぶ魚はもっと高くなるという。
淡水魚ではアロワナとコイが特に人気。これらを扱う店のオーナー、アインさん(47)によると、コイは東ジャワ州ブリタル県で稚魚を買い付け、店内で育てている。「コイは日本の品種がとても有名だが、輸入して売るには高すぎるし、インドネシアで養殖したコイでも十分に受け入れられる。観賞魚の愛好家は増えており、外国人もたくさん来店する」と話す。
アロワナは西カリマンタン州ポンティアナック市から、約15センチのものを仕入れて育てる。稚魚で1匹800万ルピアするものもあるという。2年かけて60センチほどになったアロワナは2500万ルピアで販売している。
アインさんは「自然豊かなインドネシアでは、観賞魚が豊富。だが、輸出は手続きなどが難しく手が出ないし、もうけが出るかも分からない。国内で愛好家が増えているので、利益は十分に取れる」と話した。(毛利春香、写真も)