イスティクラルに7万人 「ムスリムの知事を」 選挙運動最終日 ジャカルタ知事選
ジャカルタ特別州知事選(15日投開票)の選挙運動最終日を迎えた11日、複数のイスラム団体による合同祈とう集会が中央ジャカルタのイスティクラル・モスクで開かれ、全国から約7万人が参集した。厳かに礼拝を行う傍ら、ムスリムの候補への投票を呼びかけ、コーラン侮辱発言で係争中の現職アホック氏(50)の再選阻止を訴えた。ムスリムである対立候補2組も駆け付け、参加者と共に祈りをささげた。
11日午前2時すぎ。イスティクラル・モスクには、白いイスラム服に身を包んだ参加者が続々と到着し、5階建てのモスクの通路や階段をも埋め尽くしていた。段ボールやシートを敷いた床の上で身を寄せ合って眠る人たちの姿もあった。
ここで夜を明かす「前乗り組」の多くが地方からの参加者だ。東ジャワ州スラバヤ市の会計士ハビブ・パスニさん(42)も仕事を早めに切り上げ、午後の航空便で駆け付けた。「アホックが再選されれば、多くの人が拒むだろう。政治の安定のためにも、ムスリムが多数派の地域ではムスリムがリーダーになるべき」と話す。
イスラムの聖典コーランの一節に言及し、宗教冒とく容疑で起訴されたキリスト教徒のアホック氏に抗議する大規模集会は、昨年11、12月に続く3回目。今回の集会は、イスラム強硬派団体・イスラム擁護戦線(FPI)やムスリム・フォーラム(FUI)などが主導した。
大勢の参加者で、周辺道路では渋滞が発生。11日早朝からは、約1キロ離れたガンビル駅からモスクに向かって歩く参加者の長蛇の列ができた。
警察が禁止したデモ行進や暴動は起きなかったが、モスク周辺では「アホックを捕まえろ」「ムスリムの知事を選ぼう」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げた人たちが声を上げた。
西ジャワ州ブカシ県チカランからは大型観光バス23台に乗った団体計約1200人が加わった。会社員のイマン・ウィボウォ・ウトモさん(41)は「政治は関係ない。私たちの宗教を純粋に守りたいだけ」と参加。「なぜいまだにアホックが投獄されないのか」と抗議した。
12年前、キリスト教から改宗したという南ジャカルタ区チプリルの銀行員プラムディヤさん(40)も集会に加わった。「イスラム教とキリスト教にはそれぞれのルールがあり、それぞれの聖典がある。それらを一方的に混ぜ合わせてはいけないし、境界線を越えてはいけない」。知事選の投票先はまだ決めていないが、「2番(アホック氏の候補者番号)ではない」と話した。
午前4時半ごろには、アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏(38)とアニス・バスウェダン氏(47)、両氏と組む副知事候補の計4人も礼拝に加わった。礼拝では、アグス氏かアニス氏が当選するよう皆で祈る場面もあった。(木村綾)