障害者に優しい街を 高架停留所に批判も ジャカルタ知事選 最後の公開討論会
ジャカルタ特別州知事選の投票を5日後に控えた10日夜、立候補者による第3回公開討論会(主催・同州総選挙委員会=KPU)が南ジャカルタのビダカラホテルで開かれた。3組の候補全員がそろう選挙前最後の討論会となり、激しい舌戦に注目が集まった。
最終回は社会福祉がテーマ。障害者福祉や麻薬撲滅、女性の権利など首都が直面する課題に焦点が当てられた。
前教育文化相のアニス・バスウェダン氏(47)は、公共バス「トランスジャカルタ(TJ)」に新設された第13高架路線の写真を示し、「10カ所の停留所のうち1カ所しか傾斜道がない。障害を持つ人や妊娠中の女性、皆が使えるものではない」と批判した。
ユドヨノ前大統領の長男アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏(38)組も現職批判を展開。アホック知事(50)の元補佐官で、アグス氏と組む副知事候補シルフィアナ・ムルニ氏(58)は、州庁舎に障害者用の施設を作っても障害を持つ職員はいないと主張した。
アホック氏はアニス氏の指摘に対しては、日本の導入例を参考に車椅子の人が乗れる車両や停留所、歩道を設けてきたと、写真を見せるなどして取り組みをアピール。シルフィアナ氏の指摘には「(障害を持つ職員は)1%いる。(シルフィアナ氏は)下級職員の状況を把握していない」と反論した。
薬物防止のテーマでは、アニス氏が町内会(RW)単位で教育・啓発活動を実施し、薬物の危険性を周知することで乱用を防ぐと主張した。アグス氏は「売人は容赦しない」と強調。薬物使用者のリハビリ支援や監視カメラ強化による防止策を提案したが、アホック氏は、既にカメラを多数設置し監視体制は整備されていると強調した。
現職ペアは、薬物被害にあっている子どもたちが多数いると指摘。アホック氏が整備を進めた児童公園が地域のコミュニケーションに役立つと強調した。
選挙運動期間は11日に終了する。12日から3日間の冷却期間を経て15日に投開票となる。(木村綾)