車両デザイン流線型に 日本受注のMRT車両 日イ間で協議大詰め
ジャカルタ特別州で建設中の大量高速鉄道(MRT)の車両デザインの協議が大詰めを迎えている。州政府と州営MRTジャカルタ(MRTJ)は、当初想定していた直線的なものではなく、流線型のモダンなものにしたい考えを明らかにした。車両は日本企業が受注しており、日イ間でデザインを決定後、早急に生産を開始する予定だ。
MRT車両は住友商事と日本車輌製造が2015年に、16編成・車両96両の製造を約130億円で受注している。MRTJの代表者らが昨年12月に訪日した際、日本側とデザイン案について協議した。
ここで提示した案について、スマルソノ知事代行はこのほど、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領に報告。記者団に「当初案は車両の先頭部分が寝ているコオロギの顔のようなデザインだった。よりスポーティーで流線型のデザインにしたい」と説明した。
MRTJによると、希望するデザインは、車両の色を当初案の黄緑から青と黒にし、先頭車両を角張った直線的なものから丸みを帯びた流線型に変更する。しかし、車両長20.5メートルの大型車両の前面に追加できるのは最大7.5センチで、駅のホームや運転席のドアの位置なども考慮する必要がある。
MRTJのウィリアム・サバンダル社長は地元メディアに対し、新デザイン案ではさらに計178億ルピア必要になるが、製造期間を延長せず予定通り進めたいと説明。「1月中に車両デザインを決定して2月にも生産を開始し、18年6月には試験運行を始めたい」と話した。
住友商事の広報部によると、インドネシア側とは受注後からデザインについて話し合いを進めており、現在も設計内容を詰めている段階。価格についてもデザインの仕様によって高くなる可能性はあるが、まだ未決定という。
同車両が走る区間は地下鉄を含む南ジャカルタ・ルバックブルス〜ホテルインドネシア(HI)間(15.7キロ)。同区間のMRT開通は19年2月となる計画で、車両の納入時期は当初と変わらず18年中を予定しているという。
インドネシアでは現在、日本から輸入した中古車両が走っているが、日本製の新造車両は約20年ぶりとなる。(毛利春香)