緑地化で置屋街が一変 「カリジョド」が公園に
ジャカルタ特別州政府がことし2月に取り壊し、更地となっていた北・西ジャカルタ両区にまたがる置屋街「カリジョド」。高速道と大通り沿い、左右を川に挟まれた約4ヘクタールの更地では緑地化計画が進められてきた。子どもから大人まで楽しむことができる「カリジョド公園」が完成間近となっている。
アホック・ジャカルタ特別州知事(50)=知事選出馬で休職中=が、カリジョドの住民らに自主退去を促し、最終的には強制撤去を断行。緑地化を進めることで子どもでも自由に出入りして遊ぶことができる公共スペースになるよう、公園などの整備が進められてきた。20日にはすでにスケートボード場が完成しており、子どもや若者が、自転車やスケートボード片手にやってくる。幼い子どもだけで遊ぶ姿もあった。
アホック氏も17日、息子2人と訪れ、自転車に乗るなどして子どもたちとの時間を過ごした。アホック氏は「とても満足。スケートボード場は世界基準にのっとって建設しており、国際大会も開催することができる」と説明した。開発費は地元企業らからCSR(企業の社会的責任)活動の一環として資金を募り、民間企業にデザインを委託したという。
スケートボード場の手前にあるベンチが並ぶ屋根つきのスペースでは、モスクやトイレの設置工事が進んでいるほか、サッカー場やジョギングエリアの整備、植樹などの作業が残っているが、工事は年内に完了する予定。新年を祝うイベントも開くという。
西ジャカルタ・チュンカレンのドゥリ・コサンビ地区から訪れていたスナルディさん(53)は「きれいで広くて、とても環境が良い。アホックはよくやっている」と話す。「カリジョドはプレマン(チンピラ)が居座るなど治安が悪い場所だった。それが今は幼い子どもたちが遊べるほど、誰でも気軽に足を運べる。本当にすっかり変わった」と感心した様子で語った。
カリジョドはオランダ植民地時代からの歴史を持つ首都最後の「赤線地帯」だった。娯楽施設が違法に営業されていた地区で、プレマンとイスラム擁護戦線(FPI)の衝突なども発生。一方、小説や映画の舞台にもなってきた。(毛利春香)