クリスマステロを阻止 3人射殺、4人逮捕 国家警察南タンゲラン
クリスマスと年末年始にテロ実行を計画していたとして、国家警察対テロ特殊部隊(デンスス88)は21日、過激派組織のメンバーが潜伏していたバンテン州南タンゲラン市の隠れ家を摘発、投降を拒否したため銃撃戦になり、3人を射殺、1人を反テロ法違反の疑いで逮捕した。隠れ家からは手製爆弾が複数見つかった。北・西スマトラ、リアウ諸島の3州でも一味とみられる3人を逮捕。いずれも1月の中央ジャカルタ・サリナデパート前爆破テロの黒幕とされるバフルン・ナイム容疑者と関係があるとみて捜査している。
国家警察は午前8時、南タンゲラン市ラヤ・スルポン通りでアダム容疑者を逮捕した。同市セトゥ郡ババカンのチュルグ村にある借家に仲間がいるとの証言から、同9時ごろ隠れ家を突き止めた。隠れ家の中にいた3人に降伏するよう警告したが、抵抗して爆弾を投げられたため突入。銃撃戦の末、3人を射殺した。爆弾は不発だった。
射殺されたのはオメン、イルワン、ヘルミの3容疑者。アダム容疑者はその後、警察の取り調べに「ブミ・スルポン・ダマイ(BSD)にあるエカ病院近くの交番で自爆する計画だった」と明かした。警察官を刺殺し、人が集まったところで爆発させる手はずだったという。
容疑者らが使っていた隠れ家は紫色の平屋で、1カ月前に完成した新築の賃貸住宅。広さ約30平方メートルの4部屋が横並びになっており、アダム容疑者らは玄関に向かって左端の部屋に4人で暮らしていた。2010年ごろにできた住宅地「プリ・スルポン2」のすぐ裏手にある地区で、周囲の道幅は約2.5メートルと狭い密集地。
部屋からは筒状の爆弾が14個見つかり、爆弾処理班が午後10時までに12個を処理した。
おいが同住宅のオーナーというエディ・マクロミさん(55)によると、4人は2週間ほど前に賃貸契約を結び、1週間前に入居したばかり。契約時に住民登録証(KTP)の提出を求めると、「今度持ってくる」などとして提示していなかったという。
サリナ前爆破テロの首謀者とされるバフルン容疑者は、過激派組織イスラミック・ステート(IS)に参加し、シリアに居住しているとみられる。警察は、7月の中部ジャワ州ソロ市警察本部でのオートバイ自爆テロや、12月11日に予定されていた中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)での自爆テロ計画など、複数の計画に関与していたとみている。
摘発現場を視察したティト・カルナフィアン国家警察長官は、民放TVワンの独占インタビューで過激思想に傾倒する経過を話した女、ディアン・ユリア・ノフィ容疑者ら、イスタナ自爆テロ計画で10日以降に逮捕した容疑者の供述が今回の摘発につながったと説明。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は「各国でテロが発生しているが、テロを未然に防いだ国家警察に感謝する」とたたえた。(中島昭浩、写真も)