過激思想フェイスブックから イスタナ自爆テロ計画 実行犯役の女が供述
イスタナ(大統領宮殿)を標的にした自爆テロ計画で、実行犯になる予定だったディアン・ユリア・ノフィ容疑者(27)は13日に放送された民放TVワンの独占インタビューで、フェイスブックを通じて過激思想に染まっていったことを明かした。犯行に至った経緯にも触れ、1月の中央ジャカルタ・サリナデパート前爆破テロの首謀者とされ、シリア在住のバフルン・ナイム容疑者から指示があったことも明らかにした。
ディアン容疑者は黒いニカブ(スカーフ)で頭や口元を覆った姿でTVワンのインタビューに応じ、自身の生い立ちについて語った。
同容疑者は西ジャワ州チルボン生まれ。台湾で介護職を3年、シンガポールでベビーシッターを1年半、出稼ぎ労働で勤めた。英語や中国語も話せるという。
過激思想に触れたのは、シンガポール滞在時。フェイスブック上の「ジハーディスト」の投稿を読み傾倒していった。
「1年ほど前からフェイスブックをよく利用するようになった。グループには入っていない。見続けるうちに、興味を持つようになった」。やがてジハードやイスラム法学、信仰に関する記事を読むようになった。
10日に逮捕された同じ犯行グループのヌル・ソリヒン容疑者とはフェイスブックを通じて知り合い、10月に結婚した。事前に会ったこともなければ、互いに写真を見たこともなかったという。ソリヒン容疑者は当時、すでに結婚して子どももおり、ディアン容疑者はその事実を知っていた。ソリヒン容疑者の前妻も今回の計画に関わったとして逮捕された。
今回のテロ計画の黒幕とされるバフルン容疑者にも言及。チャットアプリ「テレグラム」を通じて3度連絡を取り、「3日前に(自爆テロの)標的を明かされた」と話した。
標的は一般市民でないと主張。「(見物客に)紛れ込んだ後、警護隊のところまで走り、自爆するつもりだった。見物客から離れていれば彼らが直接被害を受けることはないだろう」と語った。
これまでの調べでは、犯行グループは11日にイスタナで行われる警護隊交代式で、自爆テロを実行する計画だった。警察はディアン容疑者や夫のソリヒン容疑者ら3人を10日に逮捕。ディアン容疑者の借りていた西ジャワ州ブカシ市の部屋からは、高性能爆薬の過酸化アセトンを圧力鍋に詰め込んだ爆弾が、黒いリュックに入った状態で見つかった。(木村綾)