寝坊で135人命拾う イスラム学校の学生 アチェ北部地震
「不思議なことに、皆が寝坊してしまったんだ」。100人を超える命を奪ったアチェ北部地震。被災地のピディ・ジャヤ県ムルドゥ市近郊では、毎朝通っているモスクに行くはずの時間に間に合わず、イスラム寄宿学校(プサントレン)の学生135人が命を拾った。
同市内の国道沿いにあるモスク「ジャミ・クバ・パンワ」。
真裏にあるプサントレン「マドゥラス・ウルウクルアン・ピディジャヤ」では地震発生時、中学生と高校生の男女計135人がいた。普段は午前4時15分ごろに学校を出て、モスクに向かう。ところが、7日朝は、学生や教員らの多くが寝坊してしまい、各自がモスクに向かう準備をしている最中の午前5時すぎ、激しい揺れに見舞われた。
同校で教員を務めるタアクマルザニさん(34)によると、校舎からの出口は1カ所だけ。「津波が来る!」と叫ぶ子どもたちがおり、それにつられて皆、高い場所を目指して走った。混乱の中、約20人が重軽傷を負った。
タアクマルザニさんは当時を振り返る。「地震が起きたときは停電で真っ暗。どうしていいか分からなかった。揺れが続く中、それぞれ学校から走って逃げた」。
学校の内部は屋根や壁が崩落、ガラスや本、服などが散乱。同校に通う生徒とその家族らが荷物を回収しに訪れていたが、悲惨な状況に涙していた。
一方、大きく傾いたモスクでは、記者やカメラマンの他に記念撮影をする住民も。市内では、がれきの撤去作業が続くパサールなどの周辺では、通常通りカフェやワルン(屋台)、アチェ料理店などが営業を再開。各地から集まった報道陣に混じり、解体作業を眺めながらコーヒー片手におしゃべりする住民の姿もあった。(毛利春香、写真も)