「ビマ」を初映画化 日イ合作の特撮ヒーロー 両国でロケ、来春公開
日本とインドネシアの合作で2013年に誕生した特撮ヒーロー「ビマ・サトリア・ガルーダ」が初めて映画化される。日本ロケを含む撮影は既に終了し、2017年3月末から4月ごろにインドネシア全土の映画館で公開される。国外への配給・配信は未定。テレビ放送終了から約1年半、スクリーン上で最強の敵を迎え撃つ。
「ビマ」は、仮面ライダーシリーズを手掛けてきた石森プロと国内最大のメディアグループ「MNC(メディア・チトラ・ヌサンタラ)」が共同制作した、インドネシア発のスーパーヒーロー。
新作映画のタイトルは「サトリア・ヒーローズ・ビマ―X・リベンジ・オブ・ダークネス」。10月から1カ月間、富士山の麓や東京、インドネシアで撮影が行われ、編集作業中だ。
ビマの発案者で、テレビシリーズに続いて映画でもエグゼクティブ・プロデューサーを務めるMNC役員のレイノ・バラックさんは、7日の記者会見で「テレビでは成功したと言えるだろう。これまでは無料だったが、お金を払って映画を観に来る価値があるのか、私たちにとっても挑戦」と語った。
レイノさんによると、13年6月に始まったテレビ放送1期目(全26話)と14年9月からの同2期目(全52話)の平均視聴率は約2.1%。インドネシアで国民的人気を誇るアニメ「ドラえもん」の同2.4%に迫る人気を獲得し、名実共に国民的特撮ヒーローとなったことを強調した。
会見には、テレビシリーズに主演したクリスティアン・オクタフィアヌス・ロホさんと元JKT48メンバーのステラ・コルネリアスさんらに加え、米SF映画「スターウォーズ・フォースの覚醒」に出演した俳優ヤヤン・ルヒアンさんが登場。ヤヤンさんは「日本では海や山などで撮影し、天候に合わせるのが大変だった」と話した。さらに、アイドルグループ「少女コンプレックス」のメンバーで、映画のために結成された4人組ユニット「SAKURA4」がテーマ曲「ジャスティス・ナイト」を披露した。
ビマのライセンスを管理する伊藤忠商事インドネシアの荒巻裕史情報・通信課長によると、全日空やポイントサービス「Ponta(ポンタ)」、ファッションブランドの「(X)S.M.L」などと協力し、さまざまなクロスプロモーションを実施する。
会見に同席した地場系携帯電話メーカーのアドバンは、映画とコラボしたタブレット端末を発表。背面にビマのロゴが配され、テレビシリーズの全動画やゲームなどをインストールし、17年1月に発売する。また、バンダイ・ナムコ・インドネシアは四つの新商品を制作するとともに、10商品をリニューアルした。
荒巻課長は各社との協働に関し、「子どもたちに夢を与えるライセンスアプローチでインドネシアの産業を底上げしていくという考えに共感してくれた。事業はまだ投資の時期だが、産業を育成していくリーダーでありたい」と語った。(中島昭浩、写真も)