シネコン最大手に外資 規制緩和で 映画館増設 シンガポール参入
規制緩和で映画産業が外資企業に一気に開放されたことをきっかけに、映画館チェーンへの投資が進んでいる。資本力のある外資参入により複合映画館(シネマコンプレックス=シネコン)を運営する国内大手企業は主に地方での映画館増設に力を入れている。
シンガポール政府系投資会社、GICは5日、「シネマ21」の運営企業に3兆5千億ルピアを投資すると発表した。シネマ21は全国に映画館150軒以上を展開し、スクリーン数の7割以上のシェアを誇る最大手。GICは長期的に可能性がある事業と判断し、投資を決めた。
これまで外資企業の出資比率を定めたネガティブリストの規定で、映画製作・上映・配給などへ外資の参入は一切認められていなかった。2014年に韓国CGVがCGVブリッツ(当時はブリッツメガプレックス)運営企業の株式購入に動いて物議を醸し、その後一部の企業が映画産業を外資に開放するよう働きかけ、ことしのネガティブリストの改正で認められた。
韓国CGVは西ジャワ州バンドン発のCGVブリッツの株式比率を8月に22・7%まで引き上げた。CGVブリッツは韓国政府とインドネシア創造経済庁などが毎年開いている「韓国・インドネシア映画祭」で場所を提供するなど、韓国映画の流通拠点となっている。CGVは海外展開を積極的に進め、ベトナムでは最大手。
中国や他の韓国企業が現在、映画館運営に向けた事業可能性調査を進めているとの話も浮上し、「中国の映画館チェーン最大手、ワンダ・シネマや韓国ロッテグループが17年半ばにも進出する可能性がある」(トリアワン・ムナフ創造経済庁長官)としている。
映画館協会(GPBSI)によると年間で約6%ずつスクリーンの数が増えているが、現在のスクリーン数約1200は、国民2億5千万人が享受するには少ない。業界では最低でも9千のスクリーンが必要といわれる。
CGVブリッツは15年に西ジャワ州カラワン県にシネコンを設立。カラワン初のシネコンで、ことし以降も東カリマンタン州バリックパパンや北スラウェシ州マナドに開館し、今後も積極的に地方に拡大する方針。財閥リッポー・グループも14年に映画館運営に参入。10年間で現在のシネマ21グループの倍となる300の映画館シネマックスを新設する計画だ。
映画評論家らが運営するウェブサイト「フィルム・インドネシア」によると、約500の県と市の中に映画館があるのは52の自治体のみ。(佐藤拓也)