イスラムの実像知って ムスリムの青年たちが訪日
国際交流基金アジアセンターが主催する「東南アジア・ムスリム青年との対話事業(TAMU)」に参加した東南アジアのムスリム青年7人が21〜30日、訪日した。一行は東京と岩手で、日本の人々にイスラム教の実像を伝えるとともに、交流を通して日本への理解も深めた。
訪日したのは、インドネシア国内最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)所属のリフキ・ファイルズさん(25)と国内第2のイスラム団体ムハマディヤ所属のアフマッド・イマム・ムジャディドゥ・ライスさん(36)のほか、タイ2人、マレーシア、フィリピン、シンガポール各1人の計7人。
TAMUは、イスラム過激派によるテロ事件などの影響で、イスラム教が日本で正しく理解されていないという問題意識のもと、今年度から新たに始まった。東南アジアの若手ムスリムを日本に招き、日本の青年層との交流を通して日本のイスラム教理解の促進を目的にしている。
事業実施に携わっている中村光男・千葉大名誉教授は「参加者と直接触れ合うことで、日本の人々に東南アジアの穏健なイスラムの実像を知ってほしい」と話す。
一行は、東京では中央大学や東洋英和女学院高等部などを、岩手では岩手県立大学や地元コミュニティー、東日本大震災の被災地を訪問した。
学校訪問では、参加者がコーランの一説を朗唱したり、学生と宗教についてのディスカッションを行った。出身国でのイスラムの現状を伝えるとともに、イスラムと日本の宗教観の比較から、日本人がよりどころにする物は何かといった活発な議論が交わされた。
リフキさんは事業について「非常に有意義だった」とし、「少しでも日本の人々がイスラムを正しく理解するきっかけになればうれしい」と感想を話した。(国際交流基金・藤本迅)