2日にモナス集会 アホック氏逮捕訴え イスラム団体
複数のイスラム団体は28日、中央ジャカルタのモナス(独立記念塔)広場とイスティクラル・モスクで12月2日の金曜日に、合同祈とう集会を開催すると発表した。警察や軍は政府転覆の動きがあるとして、2日のデモを禁止するとしていたが、場所をモナス広場周辺に限定することで警備強化を図る考えだ。
イスラム団体と国家警察は、中央ジャカルタにあるイスラム学者会議( MUI)本部で合同記者会見を開き、合同祈とう集会の予定を発表した。
強硬派のイスラム擁護戦線(FPI)を中心に、今月4日の5万人デモを実施したMUIの国家ファトワ保護運動(GNPF)は当初、2日のデモ計画について、ホテルインドネシア(HI)前ロータリーやタムリン通りで金曜礼拝を行うとしていたが、国家警察は首都の目抜き通りを占拠することは認めないとの方針を発表。両者が協議し、モナス広場内を集会会場とすることで合意した。
政府転覆を画策する勢力がいると警告してきたティト・カルナフィアン国家警察長官は「イスラム団体を名指ししたわけではない」と説明。ただ、モナス以外の場所でデモを行った場合は厳重に取り締まる姿勢を示した。
イスラム勢力は集会で、コーラン侮辱発言で宗教冒とくの容疑者に認定されたアホック・ジャカルタ特別州知事の身柄拘束を訴える。アホック氏の事件はすでに国家警察から最高検察庁へ送致されたが、MUIのマアルフ議長は記者団に対し「アホック氏が逮捕され、有罪が下るまで運動を続けていく」と話した。
FPIのハビブ・リジック・シハブ代表は「すでに最高検を訪れ、アホック氏の逮捕と起訴を早急に行うよう訴えた」と明かし、集会については「イスラムだけでなく、異なる宗教の信者にも参加を呼びかけ、国民対話の場にしたい」と話した。
警察が集会を許可したのは午前8時から午後1時まで。FPIなどのイスラム団体は、スマンギ立体交差からブンドゥンガン・ヒリル、HI、クボン・シリ(中銀)、アルジュナ・ウィジャヤ像(モナス南西端)の各交差点など、スディルマン、タムリン通り沿いに警備担当者を配備し、デモ参加者の整理にあたるとしている。
政府はアホック氏の発言を契機に強硬派の勢力拡大を懸念している。通信情報省は27日、情報・電子取引(ITE)法に反する憎悪表現があるとして、FPIのハビブ・リジック代表のウェブサイトを遮断したと発表した。国家テロ対策委員会(BNPT)や国家情報庁(BIN)の要請を受けたとしている。
同サイトでハビブ・リジック氏はアホック氏攻撃を展開。政府が政府転覆の動きがあると警告したのを受け、同氏は「統一国家を分断するな」「多様性を愛する」「FPIは反華人ではない」などと融和を呼びかけるスローガンを掲げていた。(配島克彦)