神戸港の利用拡充へ 市がイ初セミナー コンテナ貨物を誘致
神戸市は18日、中央ジャカルタのサリパンパシフィック・ホテルで神戸港の利用を促進するセミナーを初開催した。神戸とインドネシアを結ぶコンテナ船の航路を増やすなどして、直近5年で倍増したインドネシアからのコンテナ貨物の誘致をさらに強化していく考え。
神戸市はこれまで東南アジア諸国でコンテナ航路数の最も多いベトナムで同様のセミナーを開いてきたが、今後重視するインドネシアで初めて開催した。
神戸市みなと総局みなと振興部の物流対策担当課長、清水文彦氏が神戸港の概要について、「コンテナ取扱量は阪神大震災(1995年)前、世界で6番目だったが、その後大きく落ち込んだ。現在は阪神大震災前の水準に戻り、国内有数の貿易港ではあるが、国際貿易港としての地位は以前に比べ落ち込んでいる」と述べ、アジア主要国の港湾に利用者が流れている背景を説明。経済成長を続け、神戸港におけるコンテナの取り扱いが増えているインドネシアをはじめとする東南アジア諸国から貨物を誘致し、国際競争力を高める戦略を説明した。
神戸港では11月からインドネシアを通る航路を増便した。東南アジア諸国と神戸港を結ぶ航路数はベトナムの16便、タイの11便に対し、インドネシアが3便、フィリピンは4便と少ない。神戸市はインドネシアとフィリピンを重点的に新規航路を開設する企業や神戸港間で新たにコンテナ貨物の取り扱いを始める企業に対し、金銭面のインセンティブを提供する。
近年の神戸港の地域別コンテナ個数によると、中国の取り扱いが減少している一方で、東南アジア諸国が伸びている。インドネシアは20フィートコンテナ換算(TEU)で10年の1万8千個から15年に2倍以上増加した。
神戸港は、東南アジア諸国から米国へ向かう航路の中継地点として、地理的に韓国や中国よりも優位に立てる同港のプレゼンスを高めたい考えで、航路や貨物の誘致に力を入れている。
神戸港をめぐっては、国が「海洋国家日本の復権」を掲げアジア主要国と同等のサービスを提供するために始まった「国際コンテナ戦略港湾」政策の一環として、2014年6月に国を筆頭株主とする新会社「阪神国際港湾」を設立。国や自治体が集荷に補助金を出すなどし、世界的にも競争力のある中国や韓国などの港湾へ流出しているコンテナ貨物を呼び戻す方針で進めている。(佐藤拓也、写真も)