25日デモ回避呼びかけ アホック氏容疑者認定 イスラム勢力沈静化図る 大統領とプラボウォ氏会談
コーラン侮辱発言でアホック・ジャカルタ特別州知事が宗教冒とくの容疑者に認定されたのを受け、複数のイスラム団体は17日、25日に一部の団体が計画していた反アホック氏デモを行わないよう呼びかけた。同日、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はイスタナ(大統領宮殿)でグリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首と会談、国是「多様性の中の統一」を維持することを確認した。
インドネシア最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)のサイド・アキル・シロジ議長は17日、アホック氏が容疑者に認定されたことで、警察の捜査の公正性が示されたとして、25日にデモを行わないよう呼びかける声明を発表した。
イスラム団体を統括するイスラム学者会議(MUI)最高顧問会議のディン・シャムスディン議長も、「容疑者認定は国民の正義感を満たすもの。ジョコウィ大統領も捜査に介入せず、透明性を確保した」とたたえ、「アホック氏個人の問題を政府批判と関連付ける必要はない」と、アホック氏の侮辱発言問題を利用しようとする政治勢力をけん制した。
4日のデモに参加した野党・福祉正義党(PKS)のファフリ・ハムザ国会副議長も「国民は平静になることを望む」と強調。デモ動員の中核組織イスラム擁護戦線(FPI)はアホック氏を逮捕すべきだと訴えているが、今後のデモは未定としている。
■自宅訪問の返礼
ジョコウィ大統領は同日、イスタナでプラボウォ氏と昼食を共にし、テラスのソファで会談した。10月31日に大統領がプラボウォ氏の自宅を訪れたことへの返礼。短期間に2人が続けて会談するのは初めて。
ジョコウィ大統領は「インドネシアの多様性を維持することを確認した。政治的見解の違いの代償で統一国家が脅かされることがあってはらなない」と強調した。プラボウォ氏は「どのような状況でも平静を保ち、同じ家族として問題を解決できるはずだ」と述べた。
アホック氏の処遇に注目が集まる中、アホック氏を擁立した与党・闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首は同日、中央ジャカルタ・メンテンの党本部で党所属の閣僚4人を集め、政治情勢について協議した。メガワティ党首は国家警察によるアホック氏への法的措置を尊重すると述べ、推定無罪の原則に基づいて捜査を進めてほしいと求めた。
ティト・カルナフィアン国家警察長官は記者団に対し、アホック氏の裁判はコーヒー毒殺事件と同様、テレビで生中継し、国民の関心を喚起してほしいと要請。ガトット・ヌルマンティヨ国軍司令官は「アホック氏の容疑者認定後のデモは、混乱を引き起こし、統一国家を脅かす勢力だ」とけん制した。(配島克彦)