アホック氏を事情聴取 コーラン侮辱容疑 国家警察本部で9時間
コーランを侮辱する発言をしたとして宗教冒とく容疑で刑事告発されているアホック・ジャカルタ特別州知事の事情聴取が7日、約9時間にわたって行われた。発言の波紋はジャカルタにとどまらず、4日のデモには全国から大勢のムスリムが集まって知事の逮捕を訴えた。2週間以内に終えるという捜査の行方が注目される。
事情聴取は、保安上の理由で南ジャカルタの国家警察本部内の犯罪捜査局で行われた。アホック氏は午前8時15分ごろ、茶色のバティック姿で出頭した。知事選でアホック氏の選対本部長を務めるプラスティヨ・エディ・マルスディ氏や選対広報のルフット・シトンプル氏が同行した。
4日のデモを受け、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は国家警察長官に捜査を公開するよう指示したが、この日の聴取は非公開で、犯罪捜査局の建物前には報道陣約100人が待ち構えた。アホック氏のトレードマークであるチェック柄シャツを身につけた支援者約20人も、外から様子を見守った。
約9時間にわたる聴取を終え、アホック氏が再び報道陣の前に姿を現したのは午後5時すぎ。「全て明らかになったと思う。知りたいことがあれば、捜査官に聞いてくれ。おなかがすいた。家に帰りたい」と話すと、報道陣の問いかけには応じず、足早に車に乗り込み去っていった。
アホック氏は9月27日、プラウスリブ県で行われた住民との対話で、「ユダヤ教徒とキリスト教徒を指導者としてはならない」とするコーランの一節に言及し、これを利用して選挙戦で同氏へ投票しないよう呼びかけているイスラム指導者がいると示唆した。
この発言の動画はインターネットで拡散され、広くムスリムの反発を呼び、同氏はイスラム団体代表らによって刑事告発された。
アホック氏は警察が出頭を求める前の10月24日、国家警察を訪れた。警察による事情聴取は今回で事実上2回目で、警察やアホック氏の弁護団らによると、同氏は2回で計40項目の質問に答えた。弁護団代表のシラ・プラユナ氏は「聴取はスムーズだった」と述べた。
聴取後会見した国家警察広報のリクワント氏によると、警察は7日までに法や言語、宗教の専門家などアホック氏を含む29人を参考人聴取した。
10日には問題の発言を編集した動画に自作の字幕を付けてソーシャルメディア上で拡散した大学講師ブニ・ヤニ氏が聴取を受ける予定。(木村綾)