ラグビー代表に日本人 JJRGの大矢洋平さん 来月2日からタイで アジア選手権に出場
ラグビーのインドネシア代表に日本人として初めて選出され、活躍する選手がいる。国内ラグビー15人制シリーズの日本人チーム「ジャカルタ・ジャパン・ラグビー・ギラ」(JJRG)に所属する大矢洋平さん(31)=兵庫県芦屋市出身。11月2日からタイで始まるアジア選手権のディビジョン3東地区大会に、インドネシア代表として出場する。昨年の初選出から2年目のシーズンを迎え、ラグビーと代表にかける思いを聞いた。
ラグビーを始めたのは4歳。当時からポジションはずっとスクラムハーフだった。出身地を襲った阪神淡路大震災で、プレーをするグラウンドがなくなり、ラグビーと離れざるを得なかった。高校からラグビーを再開し、同志社大ラグビー部では、3年の春に夢だったファーストジャージ(1軍)をもらえた。しかし、秋に全治1年の大けがをし、大学選手権に出場できない苦渋を味わった。
大学卒業、就職を機に一度はラグビーをやめた。しかし、2010年に駐在員としてインドネシアに赴任、翌11年にJJRGに入った。「海外でまたラグビーに出会って再開した。(代表になる)チャンスが巡ってきたのでやるしかないと思った」と振り返る。
■チームの司令塔
インドネシア滞在期間が3年を過ぎた15年には、日本人として初のインドネシア代表入り。さらに、経験とゲームコントロール能力を買われ、これまでのスクラムハーフからスタンドオフに抜てきされた。
スタンドオフは司令塔と呼ばれる重要なポジション。代表2年目のシーズンを迎え「日本にはアジアナンバー1の技術や知識がある。日本人が大事にするプレーの規律も。(昨年は)新参者だったので、ことしはそれを伝えていきたい」と前を見据える。
ことしのインドネシア代表チームは、メンバー25人中23人をインドネシア人選手で固め、国内選手のレベルアップを模索。初選出の選手も多く、外国人は大矢さんと米国人の2人だけだ。
■昇格目指す
チームメートから親しみを込めて「オーヤ、オーヤ」と呼ばれる大矢さんは「代表チームのバックスは、体が大きく、早くてうまくて強い。身体能力が高く、走るのもうまい。(アジア選手権の)ディビジョン2に向かって勝っていく。チームと協力して一緒に頑張っていきたい」と意気込む。
アジア選手権の試合を4日後に控えた29日には、代表チームと国内シリーズ選抜の練習試合が中央ジャカルタ・ブンカルノ競技場のサッカーコートで行われた。代表チームは4本のトライを奪うも、6本を返され敗戦。大矢さんは「セットプレーのタイミングが合わなかった」と課題を挙げる。
2日から始まるアジア選手権のディビジョン3東地区大会で、インドネシア代表チームは2日にラオスと戦い、これに勝てば5日に中国と対決する。
同選手権は総当たり戦や他地区の結果で昇降格が決まる。日本は、最上位ディビジョンの「トップ3」に出場。4月下旬〜5月上旬、韓国と香港に勝ち、アジアナンバー1の座を手にした。(中島昭浩、写真も)