観光開発に2億ドル 世銀が優先3地域に融資 トバ湖、ロンボク島、ボロブドゥール
世界銀行は、政府が優先して開発を進める観光都市10地域のうち、トバ湖(北スマトラ州)、マンダリカ(西ヌサトゥンガラ州ロンボク島)、ボロブドゥール(中部ジャワ州マグラン)の3地域に総額2億ドルの開発融資を行う方針を決めた。政府の優先事業を世銀が支援する。
世銀は過去にバリ島の観光開発に向けた融資を実施、支援してきた。今回の2億ドルの融資額は世銀のインドネシアへの2016年融資額の約1割に相当する。インドネシアは、観光地としての潜在性は高いとされるが、観光地までのアクセスや衛生・環境面の整備が遅れ、近隣国タイの観光客数の約3分の1にとどまる。
ユスフ・カラ副大統領が21日に世銀幹部と会談し、方向性を決めた。カラ副大統領は地元メディアに「世界標準の観光地開発に向けて良い議論ができた」と話し、世銀から政府による観光開発計画に対して信用が得られたことを強調した。
世銀からはインドネシアの代表を務めるロドリゴ・チャベス氏が出席。トバ湖周辺地域出身のルフット・パンジャイタン海事調整相ら関係閣僚が同席した。
世銀が2017年1月に事前調査へ600万ドル、その後17年7月をめどに2億ドルを融資する。中央政府・地方政府からも1兆ルピア(約8千万ドル)の予算をねん出する。
具体的には、トバ湖までの空の玄関口となる北スマトラ州メダン・クアラナム空港の滑走路の拡張やトバ湖までの道路の延伸、トバ湖周辺にある橋の修復などのほか、トバ湖の環境保全や歴史・文化財の保護に使う。
ボロブゥール寺院までのアクセスも改善するほか、民泊やホームステイなど周辺の宿泊環境を整備する。
詳細は、公共事業・国民住宅省が策定し、17年1月から適用される観光分野の統合マスタープランと国家開発計画省(バペナス)による18年版「国家開発計画(RKP)」で明記する。
また、世銀幹部は22日に東ジャワ州スラバヤのトリ・シルマハリニ(通称リスマ)市長を訪れ、リスマ市長が長年計画している路面電車の建設について議論。会談後、リスマ市長が地元記者団に「(路面電車の)建設資金の融資を受けられそうだ」と述べ、世銀が建設に向けて支援する方向で進んでいる。
政府は19年までに年間観光客数2千万人を目指し、ことしは1200万人を掲げる。15年は973万人。観光省への16年予算(約5兆ルピア)を前年比で倍増させ、広告宣伝費に関しては同4倍近く引き上げる予算案を組んだ。(佐藤拓也)