鉄道建設事業加速へ ルフット調整相 日本とFS調査協議 ジャカルタ〜スラバヤ

 ルフット・パンジャイタン海事調整相は18日、ジャカルタ〜スラバヤ間(約800キロ)を5時間程度で走る鉄道の建設に向けた事業化調査(FS)を、12月に実施したい意向を示した。5月に日イ両政府の首脳会談で取り上げられた案件で、10月初旬のルフット調整相の訪日を機に建設に向けた機運が高まっている。

 ルフット調整相が同日早朝の記者向けの懇談で明らかにした。同相はパワーポイントを使い、6〜8日の訪日成果を説明。複数ある項目の中で、冒頭にジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道建設の議題を用意し、資料上で「日本と共同で事業化調査を行う」と明記。将来的にさらに協力関係を深めていくとし、「11月9〜11日に再度日本を訪れる」と明らかにした。5月に開かれた伊勢志摩サミットで行われた首脳会談で1度持ち上がった案件を加速させたい考えだ。
 事業化調査の予算を科学技術応用評価庁(BPPT)に付けて実施することを検討している。「BPPTは2017年1月からというが、調査に時間がかかるため、ことしの12月に始めたい」(ルフット調整相)とした。
 一方で、同相は「日本に鉄道建設を依頼することは決定事項ではない」と述べ、地元記者団に「他国の提案を総合的に判断し、最も安く建設できる案件を選ぶ」と話した。同相はオンラインメディア・ブリタサトゥの取材にジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道に言及、「ジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道(の受注競争)から学び、相手を選ぶ。中国に傾倒していることはなく、公平に選んでいく」と話した。
 海事調整省によると、ルフット調整相が7日に首相官邸で安倍晋三首相と会談した際に、インドネシア政府がジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道を日本の技術で建設したい意向を記した書簡を渡した。会談後、記者団に「個人的に日本の技術が適している」と話している。訪日中に石井啓一国交相とも会談し鉄道建設について意見交換した。
 7日時点でルフット調整相はジャカルタ〜スラバヤにかかる所要時間を3時間半としていたが、18日には「5時間程度で走れる速度にする」とした。事業規模について以前、ルフット調整相が25億〜30億ドルとした一方で、ブディ・カルヤ運輸相は「50兆ルピア(約40億ドル)必要」とするなど全体像はまだ固まっていないもよう。
 ジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道事業は、日本政府がジャワ島間の輸送強化のためにジャワ北幹線(ジャカルタ〜スラバヤ)の軌道修復や一部複線化などを1970年代から無償資金協力や円借款案件として実施している。(佐藤拓也)

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