839人で10兆円申告 租税特赦 富裕層少数、中間層が大半
未申告の資産に通常より20%以上低い税率が適用されるタックス・アムネスティ(租税特赦)の2期目の申請受け付けが10月から始まった。1期目を終え、100億ルピア(約8千万円)以上を納税した申告者839人で計1188兆ルピア(約10兆円)、全体の申告額の約3分の1を占めたが、大半は中間層だった。財務省は2期目以降、富裕層へ「納税」の働きかけを強める意向だ。
財務省税務総局は9月末の1次締め切り分を集計し、申告者の納税額別の統計を公表した。最も多かった所得層の納税額は1千万〜1億ルピア未満で、該当者数は12万9513人だった。納税額が100万ルピア未満の申告者は1万3242人。100万〜1千万ルピア未満が9万1958人と、所得が比較的少ない人の申告も多かった。
一方、納税額が100億〜500億ルピア未満は736人。500億〜1千億ルピア未満は71人。1千億ルピア以上は32人。100億ルピア以上を納税した申告者の合計資産額は1188兆ルピア(約10兆円)を超え、839人で全体の約3分の1程度を確保した計算となった。
1次締め切りまでに申告した場合、個人所得税は通常の25〜30%から2〜4%まで引き下げられる。
世界銀行の調査によると、インドネシアでは国民の1%(約250万人)が全国民の保有資産の半分を占める。9月下旬の1次締め切りの申告ラッシュで、大物実業家が相次いで税務署に姿を現し、資産の申告手続きを行ったが、インドネシア大学のグナディ教授(税法)は「1次締め切り時点の申告者は中間層が大半だった」。租税分析センター(CITA)も「高所得者の納税割合が全体の中で少ない」(ジュスティン・プラストウォ・エクゼクティブ・ディレクター)と指摘し、富裕層による「税の恩赦」の潜在性が高いとする声が多い。
現時点で申告資産のうち、海外からは全体の3割強にとどまる。国内還流資産も目標比2割弱と低迷し、申告された資産を国内に呼び込むことが課題の一つだ。9月末までの資産申告額が3792兆ルピアだったのに対し、適用税率が1〜2%引き上げられた10月以降は28兆ルピアにとどまり、税務署は閑散としている。(佐藤拓也)