酒類規制法案に賛否 賛成犯罪防止などに寄与 反対業界に打撃、税収減も
今国会の審議対象となっているアルコール飲料規制法案をめぐり、賛否両論が出ている。健康被害や犯罪、密造酒による事故などを防ぐため規制強化を支持する声がある一方で、規制による国内酒類業界への打撃や税収減少への懸念も出ている。
開発統一党(PPP)議員で、規制法案審議を担当する特別委員会のアルワニ・トマフィ委員長は、国内で唯一イスラム法が施行され、アルコール販売が禁止されているアチェ州のように、全国で全酒類を禁止するわけではないと強調しながら、「飲酒による健康被害や犯罪を防ぐため規制は必要だ」と理解を求めた。
具体的な規制内容については、宗教上の理由などで酒類の取扱い方法が各地でそれぞれ異なることを考慮し、「状況に応じて一部許可を出すなどしながら規制・管理を進める」と説明した。
これに対し、インドネシア・ビール産業組合(GIMMI)は反対を表明。GIMMI幹部のロニー・ティティフル氏によると、インドネシアの1人当たりの年間アルコール消費量は約1リットルだという。「消費量は非常に少なく、規制理由にはなり得ない。規制の影響は酒類業界にとどまらず、海外からの投資も減少するだろう」と懸念を表明した。
インドネシア経営者協会(アピンド)によると、2015年の酒税税収は5兆1千億ルピア。政府は17年に6兆ルピア、19年には9兆ルピアまで増やしたい意向だ。
しかし、アピンドの公共政策部のダナン・ギリンドラワルダナ部長は「規制すれば税収は減少する。国会ではこの点についても議論をする必要がある」と注文。さらに「密造酒などの飲酒による死亡事件が多発しているが、販売規制だけでなく生産や流通についても規制・管理しなければ効果はない」と説明した。
アルコール飲料は15年4月から、ミニマーケット(コンビニ)など小規模店舗での販売が禁止となっている。(毛利春香)