ユドヨノ氏 連合主導 長男アグス氏、アニス前大臣軸に アホック氏に対抗 ジャカルタ知事選 きょう登録締め切り
ジャカルタ特別州知事選(2017年2月15日投開票)の候補者登録が23日に締め切られる。現職アホック氏(50)の有力対抗馬を欠く状況のなか、民主党党首のユドヨノ前大統領が主導して政党連合を結集させ、現職ペアに挑む構えだ。ユドヨノ氏長男のアグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏(38)や今月に入り名前が急浮上したアニス・バスウェダン前教育文化相(47)が出馬するとの観測が出ている。
これまでに同知事選への立候補を届け出たのは、闘争民主(PDIP)、ハヌラ、ゴルカル、ナスデムの4党が擁立した、アホック知事とジャロット・サイフル・ヒダヤット副知事(60)の現職ペアのみ。州議会の半数近い議席を持つ4党が共闘で現職候補を担ぐため、残る6党の動きが焦点となる。
アニス氏は立候補の締め切り前日の22日午前、実業家でグリンドラ党副党首のサンディアガ・ウノ氏(47)と会談。サンディアガ氏は会談後、地元記者団に「アニス氏と会い、ジャカルタ知事選で共に勝利を目指すことで一致した」と語り、アニス氏とペアで出馬する意向を示した。どちらが知事候補を務めるかについては、連合の決定を待つと述べるにとどめた。
これに先立ち、21日夜、民主、開発統一(PPP)、民族覚醒(PKB)、国民信託党(PAN)の4党が西ジャワ州ボゴールのユドヨノ民主党党首宅で会談。4党共闘でアニス、サンディアガ組を擁立するとの観測が流れているが、ユドヨノ氏の長男、アグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏(38)やユスリル・イフザ・マヘンドラ元法務人権相(60)らの名前も挙がっており、直前まで候補者選びが混迷しているとみられる。
22日午後には4党の幹部がユドヨノ氏宅で「(4党で)統一候補を立てるこで一致した。グリンドラ党と福祉正義党(PKS)にも支持を呼びかける」と発表。候補者はすでに決まっており、23日に届け出るという。PPPのムハンマド・ロマフルムジイ党首は「新しい、ジャカルタの未来を象徴するペアだ」と述べ、候補者名は明言しなかった。
同知事選で当初から出馬意欲を示していたサンディアガ氏やユスリル氏に対し、7月末の第2次内閣改造で教育文化相を退任したばかりのアニス氏の名前は、9月に入ったころ急浮上した。
民間調査機関ポルトラッキングが9月6〜9日、400人を対象に行った世論調査では、候補者ペアを2択で選ぶ場合、37・95%がアホック、ジャロット組、36・38%がアニス・サンディアガ組と、支持率が拮抗(きっこう)した。5人の候補から1人を選ぶ項目では、アホック氏が40・77%、サンディアガ氏が9・23%、アニス氏が8・92%の支持を得た。
一方、グリンドラ党とPKSは、2党による候補を擁立するか、4党の政党連合に加わるかを決めかねているようだ。22日にはグリンドラ党のプラボウォ党首とPKSのソヒブル・イマン氏が会談。候補者は未発表だが、グリンドラ党のサンディアガ氏とPKSのマルダニ・アリ・スラ氏(48)の組み合わせが挙がっているほか、22日夜になってイスラム説教師のユスフ・マンスル氏(39)が急きょプラボウォ氏に呼ばれ、出馬臆測を呼んだ。(木村綾)
◇ アニス・バスウェダン
1969年西ジャワ州クニンガン県生まれ。47歳。イスラム。ガジャマダ大学、米メリーランド大学カレッジパーク校卒。2004年インドネシア研究所センター長就任。07年最年少でパラマディナ大学長。10年中曽根康弘賞。教育支援運動「インドネシア・ムンガジャル」を展開。14年ジョコウィ政権で初入閣、教育文化相に就任。16年7月第2次内閣改造で退任。
◇ アグス・ハリムルティ・ユドヨノ
1978年西ジャワ州バンドン生まれ。38歳。ムスリム。ユドヨノ元大統領の長男。国軍士官学校首席卒業。陸軍戦略予備軍第17空挺部隊などに配属。2005年シンガポールの南洋理工大学Sラジャラトナム国際問題研究所で科学修士号取得。国防省国防戦略総局米国部長。14年米国カンサス州の陸軍指揮幕僚大学に1年留学。ウェブスター大学でリーダーシップ経営学、ハーバード大学で経営学と公共行政学の修士号取得。