スシ海洋水産相が受賞 WWFのリビング・プラネット賞
スシ・プジアストゥティ海洋水産相が16日(インドネシア西部時間17日)、世界自然保護基金(WWF)の「WWFリーダーズ・フォー・ア・リビング・プラネット賞」を受賞した。自然と生物多様性保護に多大な貢献をした人物に贈られ、インドネシア人では2012年のエミル・サリム元大統領顧問会議議長以来2人目の受賞。
ワシントンのWWF米国支部で行われた授賞式で、WWFインターナショナルのヨランダ・カカバス総裁は、スシ氏に「違法漁業の撲滅と科学的根拠に基づいた持続的な漁業運営、海洋保護区域を拡大し、海洋環境保全に献身してきた。インドネシアの海の健全化に奮闘している」と賛辞を送った。
受賞後、同氏は米国務省で開かれた国際海洋会議「私たちの海洋」に出席、違法漁船摘発における国際協調の必要性について講演した。同会議にはケリー国務長官も出席した。
スシ氏は今回の受賞について、「(違法漁船摘発による)主権の行使はインドネシア経済発展の鍵となる。科学技術で海洋資源の効率的かつ持続的な運用、活用も可能となり、小規模漁業者にも繁栄が訪れる」と語った。
WWFリーダーズ・フォー・ア・リビング・プラネット賞は00年に創設され、コフィー・アナン元国連事務総長ら100人以上に贈られている。
■漁船爆破で人気上昇
スシ氏は、14年10月に誕生したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権の「勤労内閣」で、海洋水産相に就任。中国の違法漁船を拿捕(だほ)、爆破するなど、これまで漁船236隻を海に沈めた。
この強硬策で人気が急上昇し、各世論調査で「最も人気のある閣僚」で1位になっている。
違法漁船取り締まりと同時に、主権、持続、繁栄の三つを柱に海洋の安定に尽力。違法・無報告・無規制(IUU)漁業が自国を含めた世界の漁業と食糧事情を脅かしているとの持論を国際会議などで訴え、海軍や他国政府・機関と協調しながら課題に取り組んでいる。
スシ氏は1965年1月15日生まれ。西ジャワ州パンガンダラン県出身。83年に水産物輸出会社を設立し、2004年にはロブスターなど魚介類輸送の目的で航空会社「スシ・エアー」を創業した。愛煙家で右足首付近に入れ墨があり、ムスリムだが酒もたしなむ。(中島昭浩)