被告証言に五つの矛盾 コーヒー毒殺事件 精神科医「人格は正常」

 中央ジャカルタのカフェで1月6日、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第13回公判が18日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。証人として中央ジャカルタ・サレンバにあるチプトマングンクスモ病院の精神科医ナタリア・ウィディアシ・ラハルヤンティさんが、2月11日〜16日に実施した精神鑑定などの調査結果を元に証言した。  

 ナタリアさんは「テストの結果、ジェシカ被告の人格は正常で、精神障害など大きな問題点は見られなかった」と証言。鑑定中にジェシカ被告は「ミルナさんとの間に問題はなかった」と話していたことも明らかにした。一方で、被告の証言に五つの矛盾点があったと説明した。
 ジェシカ被告はミルナさんが毒入りのコーヒーを飲んで気を失った際、「ミルナさんの体をゆすった」と説明していたが、監視カメラ(CCTV)にはそのような姿は映っていなかった。またミルナさんの葬儀に参加しなかった理由について友人のハニさんに「ぜんそくが再発したため」と説明していたが、ナタリアさんらが質問した際には、「再発していない」と答えたという。留学・在住先のオーストラリアで交際していた男性について「問題はなかった」と話したが、実際には恋人と別れたことが原因で、現地の病院に通って治療を受けていたことなど、事実と証言に食い違いがあった。
 ナタリアさんは自らオーストラリアへ渡り被告の友人や現地の警察官らに話を聞いて情報を集めた。被告のオーストラリア留学・在住時代について、「2015年の11月〜12月に多くの問題や大きなストレスを抱えていた」と話し、最も大きな原因はジェシカ被告が交際していた男性と別れたことだと説明した。
 被告の交際相手は薬物を使用するなどしていたにも関わらず、被告は仲の良い交際を続けていた。だが、それを知ったミルナさんは被告に対し、別れるよう友人としてアドバイスをしていた。
 検察官も犯行動機について、ミルナさんが被告に別れるようにアドバイスしたことに腹を立てたと記載されている起訴状の内容を再度、読み上げた。
 ナタリアさんは「ジェシカ被告は大きな圧力やストレスにさらされると感情をあらわにし、また自分自信を傷つける傾向がある」と明らかにした。オーストラリア警察から入手した被告の経歴には、交際相手と別れた後など複数回、自殺未遂を計ったことがわかった。また他人と口論になるなどトラブルが複数回あったという。
 ナタリアさんは「被告は情緒が不安定なときでも他の人に悟られないよう隠すことができる一方で、とても近い関係の人には感情をあらわにするのではないか」と説明。またジェシカ被告が、交際相手が薬物を使用していることなどを知りながらも警察に通報していない点も指摘した。
 一方、被告の友人からの情報で「(ジェシカ被告は)父や兄がサポートしてくれないと話すなど、家族との間に問題点や不満があったようだ」とも話した。(毛利春香、写真も)

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