100万人の民意どこへ 独立候補断念のアホック氏支持者 「がっかりだが現実的」 ジャカルタ知事選PDIP動向が鍵

 来年2月のジャカルタ特別州知事選で、現職のアホック氏(50)は政党からの出馬を選んだ。無所属の独立候補としての出馬を支援するべく、集めた署名は100万人分に上っていた。独立候補を断念したアホック氏周辺では今、政党の動きが活発化している。

 2015年6月、アホック氏の支持団体「トゥマン・アホック」が始動した。目的は、14年にグリンドラ党を離党したアホック氏が独立候補として出馬するために必要な、有権者約53万2千人分の署名と住民登録証(KTP)のコピーを集めること。
 ショッピングモールや支持者の自宅で署名運動を展開し、ことし6月までに100万人分を集め、「初の独立候補出身知事」誕生に向け、着々と歩みを進めていた。
 一方、6月にはゴルカル党がアホック氏への支持を表明。すでに同氏への支持を表していたナスデム、ハヌラ両党と合わせ、統一候補の擁立も可能な状況となっていた。
 アホック氏は先月27日に会見し「政党から出馬する」と発表した。会見にもそろって姿を見せたトゥマン・アホックの創設者らは、引き続き、党公認候補としての同氏を支援していくと主張した。
■「大事なのは再選」
 署名活動を通じ、独立候補としての出馬を支援した100万人の民意はどこへ向かうのか。
 菓子店を営むテンディー・ヘルリンドラさん(44)も中央ジャカルタ・クマヨランの自宅で、計1500人分の署名を集めたボランティアの一人。アホック氏の選択に「大事なのは、17年にアホック氏が知事に再選すること。アホック氏が選んだ道なら、私にとっては問題ない」と話した。
 トゥマン・アホックの呼びかけはSNSを通じて海外へも広がっていた。日本支部で活動する主婦(41)は、自身を含む日本滞在者14人分の署名を集めてジャカルタのトゥマン・アホック本部に送った。政党から出馬の報に「少しがっかりだが、その方が現実的」と心境を語った。「(党公認候補は)当選に向けたキャンペーンに集中できる。独立候補は事務的な書類や確認作業などで無駄に忙しい」という。
■単独候補の可能性も
 同知事選に関する最近の世論調査では、いずれもアホック氏が最高の支持を集め、2位を40ポイント以上引き離す独走状態。自党の候補を立てたい各政党の動向に注目が集まる。
 12年のジャカルタ知事選では、闘争民主党(PDIP)のジョコウィ氏とグリンドラ党(当時)のアホック氏のペアが当選。14年、ジョコウィ氏の大統領就任に伴い副知事だったアホック氏が知事に昇格すると、副知事にはPDIPのジャロット・サイフル・ヒダヤット氏(60)が就任した。
 PDIPは次期知事選にも党公認候補を擁立したい考えで、東ジャワ州スラバヤ市のトリ・リスマハリニ(通称リスマ)市長(54)らへの出馬打診が報じられているが、リスマ氏はこれまでに出馬表明していない。
 そのような状況下、アホック氏が政党からの出馬を発表すると、PDIPからの出馬の臆測も流れ始めた。政党が知事候補を擁立するには州議会で最低22議席が必要。アホック氏支持の3党の合計議席数は24。PDIPの議席数は28で、単独候補の擁立が可能だ。
 副知事候補としているヘル・ブディ・ハルトノ州地方財政運営局長(50)とのペア解消やジャロット氏とのペア復活などが取り沙汰されるなか、アホック氏はいまだ態度を保留、PDIP側は候補者選定は「党首権限」だとして明らかにしていない。(木村綾、写真も)

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