過激派指導者を射殺 警察・軍合同部隊 ポソ山間部で銃撃戦
ティト・カルナフィアン国家警察長官は19日、治安部隊は18日午後5時(現地時間)ごろ、中部スラウェシ州ポソ山間部で、イスラム過激派組織「東インドネシアのムジャヒディン(MIT)」の指導者、サントソ(別名アブ・ワルダ)容疑者とみられる男を銃撃戦の末、射殺したと発表した。国家警察はことし1月以降、テロ対策で初めて国軍が参加する合同掃討作戦を展開、米国務省が特別指定国際テロリスト(SDGT)に指定した同容疑者を摘発したことで、過激派掃討を加速させたい考えだ。
ティト長官は「身元はDNA鑑定で確定する」としながらも、指紋認証や右頬のほくろなどの特徴から「100%、サントソ容疑者で間違いない」と強調した。同長官は20日、遺体が搬送された同州パルに入り、遺体を確認する予定。 調べによると、ポソ県ポソ・プシシル・ウタラ郡タンバラナ村で18日午後5時ごろ、合同部隊の陸軍戦略予備軍(コストラッド)兵士が同容疑者ら5人のグループと撃ち合いになり、うち2人を射殺した。逃走した他の3人は、同容疑者の部下の男1人や同容疑者の妻ら女2人とみられる。
サントソ容疑者は2012年以降、スラウェシ島各地で殺人、誘拐事件などに関与。過激派組織イスラミック・ステート(IS)への連帯を表明したとされる。MITの構成員は30人以上いたとみられ、フィリピン南部から銃器を持ち込み、同県のビル山の山中などに潜伏し軍事訓練を実施していた。
同容疑者を追跡する掃討作戦はことし1月、サリナデパート前爆破テロ事件後に開始された。これまで警察が担当してきた過激派掃討に今回初めて国軍が参加し、警察と陸海空軍の合同部隊を編成。
大規模な軍事作戦を開始し、3千人以上を投入した。米国務省は3月、同容疑者を特別指定国際テロリストに指定した。
ティト長官は国家テロ対策委員会(BNPT)委員長だった4月当時、MITの残党は29人となり、うち2人はウイグル人と指摘。中国の新疆ウイグル自治区の分離独立派がサントソ容疑者らと合流し、独立運動に利用しているとの見解を示していた。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は19日、警察・軍の合同作戦が奏功したことをたたえたうえで、「残党もおり、過激派掃討を緩めてはならない」と強調。テロの脅威から国を守るためには警戒を怠ってはならないと呼びかけた。(配島克彦)