きょうからラマダン イスラムの最も大事な行事 宗教相「相互尊重を」
宗教省は5日午後、全国各地で実施した月の観測結果をイスラム団体代表らと協議し、6日からイスラム暦(ヒジュラ暦)1437年のラマダン(断食月)に入ると発表した。日中の飲食を断つ約1カ月間のプアサ(断食)が始まる。
ルクマン・ハキム宗教相は中央ジャカルタの宗教省で記者会見し、ラマダン入りの日が決まったことを発表。「互いに寛容の精神で尊重し合えば、神聖なラマダンが実行できる」と呼びかけた。
国内最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)と国内第2のムハマディヤは異なる月の観測方法を採用するため、過去にはラマダン入りの日がずれることがたびたびあったが、ことしは昨年に続き、同じ日にラマダン入りすることになった。ルクマン宗教相は「双方が十分かつ完璧な理解を得られるよう、両方の(観測)方法を使った」と説明。2団体の歩み寄りがあったことを明かした。
ラマダン中、ムスリムは日中の飲食を断つ。日の出前にサフール(早朝の食事)を取り断食に備え、ブカ・プアサ(日没後の食事)で空腹と喉の渇きを癒やす。
自己修練中のムスリムに配慮し、期間中はナイトクラブやバー、カラオケなど娯楽施設の営業が制限されるほか、営業中の飲食店は外から見えないようカーテンを下ろす。ブカ・プアサを家族や友人と共にできるよう、企業や自治体では終業時間を早める。
■「友好を深める」
5日夜には各地でラマダン入り前夜の礼拝「タラウェ」が行われた。東南アジア最大級のイスティクラル・モスク(中央ジャカルタ)では、各地から集まった大勢のムスリムが集団礼拝に臨んだ。
中部ジャワ州スマランから来た主婦のマリックさん(52)は「ラマダンを迎えるにあたり、とてもうれしい気持ち。ムスリムの最も大事な行事で待ち望んでいた」と笑みを浮かべる。
東ジャカルタ・ラワマングンの会社員、シャンディ・イスマイルさん(43)一家は、毎年タラウェのためにイスティクラルを訪れるのが恒例となっている。「ラマダン前に大きなモスクに足を運び、ムスリムの友好関係を深めるんだ」。西ジャカルタ・スリピの自営業、サルクム・アリフ・サンドリアントさん(32)は「ラマダンはイスラムの支え。だから、実行する必要がある」と、サロン(腰巻き)を巻き礼拝所へと足を進めた。(木村綾、写真も)
◇ ラマダン ヒジュラ暦の第9月で、預言者ムハンマドが初めて啓示を受けた月とされる。期間中、日中の飲食や喫煙、性交渉を断つ。病人や妊婦、月経中の女性、子ども、旅行者らは除く。断食はムスリムの義務「五行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)」の一つ。ヒジュラ暦は太陰暦のため、新月の位置を観測してラマダン入りを判断する。