スマトラサイの赤ちゃん ランプン州 4年ぶり誕生 絶滅危惧種  世界に100頭

 ランプン州東ランプン県のワイ・カンバス国立公園内で12日午前5時40分、絶滅危惧種のスマトラサイの雌の赤ちゃんが生まれた。施設でのスマトラサイの出産は世界で5例目。インドネシアでは、アジアで124年ぶりとなった前回に続く、4年ぶり2例目の繁殖成功となった。

 赤ちゃんは14歳の雌「ラトゥ」と14歳の雄「アンダラス」の間に誕生した第2子で、2012年6月に同公園内で生まれた雄「アンダトゥ」の妹にあたる。
 体重は45ポンド(約20キロ)で、健康で活発な様子だという。ラトゥの妊娠を見守ってきたズルフィ・アルサン獣医長は「ラトゥはここ数日間落ち着きがなかった。子サイは(生まれて)1時間以内に立ち上がり、2時間以内には乳を飲み始めた」と語った。国際サイ財団(IRF)は12日、赤ちゃんサイに寄り添うラトゥの写真を公開し、「ラトゥはとてもよい母親ぶりを見せている」と伝えた。
 ワイ・カンバス国立公園は約12万5千ヘクタールの広大な敷地にスマトラゾウやスマトラトラなどの希少動物を保護している。IRFが1996年、同公園内に約100ヘクタールのスマトラサイ保護区域を設け、インドネシアサイ保護財団(YABI)と共に管理してきた。
 今世紀中にスマトラサイの繁殖に成功した施設はワイ・カンバス国立公園と米オハイオ州のシンシナティ動物園のみ。赤ちゃんの父、アンダラスは01年、シンシナティ動物園で112年ぶりに誕生したスマトラサイで、07年にインドネシアにやってきた。
 ことし1月にラトゥの妊娠がわかり、体重計測や超音波により母体の健康を管理してきた。米国のシンシナティ動物園やホワイトオーク保護センター、オーストラリアのタロンガ動物園の獣医ら各国の専門家が約2時間の出産に立ち会った。
 ことし3月には東カリマンタン州西クタイで野生のスマトラサイの雄が40年以上ぶりに保護されたが、健康状態が悪化し、先月死亡した。IRFは、現存するスマトラサイは、インドネシアやマレーシアを中心に世界で100頭未満と推定する。
 漢方薬や工芸品に利用される角が目当ての密猟や生息地の破壊により数が減少し、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定している。(木村綾)

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