魚市場も強制撤去へ 漁民ら1700世帯 北ジャカルタ区ルアル・バタン
北ジャカルタ区プンジャリンガン郡ルアル・バタン村周辺の住宅・商店密集地で11日、ジャカルタ特別州政府による強制撤去が始まる。
対象は、スンダクラパ港に面し、港湾労働者や漁民たちが暮らす約1700世帯の住宅や魚市場など。大型モスクのクラマット・ルアル・バタンや海洋博物館は残り、州政府が計画する緑地公園のシンボルとして改築される。
強制撤去が目前に迫った10日早朝、住民たちは自宅から家財を運び出すなど、公営住宅や身寄りの自宅への引っ越しに向けた準備を黙々と続けていた。
魚を売る夫を支え、魚市場裏で20年以上暮らす主婦、ロビアさん(43)は「私たち家族はジャカルタの住民登録証(KTP)を持っていないので公営住宅入居の対象外。手厚く援助を受けるのはジャカルタ市民だけ。これからどうすればいいのか。私たちにはあすが見えない」と声を震わせた。
ジャカルタ特別州はことしに入り、違法住宅とされる北ジャカルタと西ジャカルタにまたがる置屋街、カリジョドを撤去、続いてカリジョド西側の高架下の違法密集住宅も撤去し、今回で3カ所目。確かに違法かもしれないが、魚の干物や潮風のにおいと子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくる、趣ある風景がまた一つ、ジャカルタから消える。(山本康行、写真も)