投資意欲ASEAN5中最高 イ進出企業 JBIC調査

 国際協力銀行(JBIC)は中央ジャカルタのホテルでこのほど「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査」の報告会を開いた。
 調査内容は海外事業展開実績評価、中期的事業展開見通し、有望事業展開先国、海外事業展開に関する主要テーマ(今後取り組むべき経営課題、国内回帰の動向など)で、製造業を原則に海外現地法人3社以上を持つ企業を対象に毎年行っている。調査企業は1016社(回答607社)。
 海外事業展開実績評価で、インドネシアに進出している企業254社のうち51社、およそ5社に1社がインドネシアのほうが日本より収益率が高いとし、比率はタイ、北米、NIES3(韓国・台湾・香港)、中国に次ぎ5番目に多かった。
 収益への満足度の質問で、東南アジア諸国連合主要5カ国(ASEAN5、シンガポール・タイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン)では、該当国・地域内での販売活動が順調だと60%以上の企業が実感し、次いで為替差益(連結決算時の円換算効果などを含む)を満足の理由として挙げる企業が多かった。
 一方、収益が不十分な理由として販売先確保が困難(他社との厳しい競合)や景気変動による市場規模の縮小が挙がった。
 電機・電子、化学、自動車に絞った業種別の収益満足評価を見ると、インドネシアでは電機・電子業の満足度が最も高く、化学、自動車と続いた。
 中期的事業展開見通しでは、インドネシアに進出している企業のうち今後事業を強化・拡大すると答えた割合が70・7%とASEAN5の中で最も高かった。
 今後取り組むべき経営課題では、▽既存事業の質的・量的拡大を図る▽高い競争力のある商品を開発する(ニッチトップ商品)▽海外拠点の管理ができる人材を育成する――など。
 企業規模別でみると海外拠点の管理ができる人材の育成について中堅・中小企業の半数以上が取り組むべき課題と回答した。調査結果によれば、大企業のようなローテーションができず、長期的に属人的な対応にならざるをえないという意見があった。
 山口陽子調査員は「インドネシアにおいて生産面は新規拠点設立や他社への生産委託より、既存拠点の強化を重視する傾向がある。販売面は新規拠点設立より、代理店活用強化と既存拠点の拡張の傾向がある」と述べた。(上岡尚樹)

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