7割超「私は中間層」 「希望の生活」を手に 博報堂が調査 ASEAN対象
博報堂は東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国を対象に、中間層に関する調査結果を公表した。これまで東南アジアで一般的だった収入別による定義ではなく、自己意識を基に調査した結果、インドネシアでは7割以上が自分を中間層と認識していることがわかった。
博報堂生活総合研究所アセアンは「自分が中間層と思う人(自己意識)」の視点でインドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム各国で、さまざまな収入層からなる500人に面接調査した。
インドネシアに関しては、米調査会社ニールセンが支出などを基に調査した中間層が56%なのに対し、博報堂生活総研アセアンが自己意識を基に調査した結果では、72%に上った。ASEAN主要各国でみても、収入実態よりも多くの国民が中間層意識を持つ結果となっている。
自己意識による調査で中間層が多い理由について、博報堂生活総研アセアンは収入の大小ではなく、「希望の生活が手に入る度合い」で中間層と認識しているとまとめた。収入別の定義で低所得者層に入る人でも、高価なスマートフォンや家具を持っていたり、ライフスタイルを充実させたりすることで、自分を中間層と認識しているという。
博報堂生活総研アセアンは、中間層が収入や消費面でさまざまな工夫をしていると分析。企業のプロモーションを利用し商品を安く購入したり、支出を収入に変える工夫がみられるさまざまな具体例を紹介。ネイルが好きな女性はネイル器具を購入し自分で利用するだけでなく、商売道具として使い収入を増やすなどの傾向があると説明した。
博報堂アジア・パシフィックの宮部裕介氏は「国民の多くが収入階層を超えて行動している。企業は収入別によるマーケティング手法の再構築や、プロモーションにも工夫ができる」と語った。
博報堂は博報堂生活総合研究所が持つノウハウをASEANに生かすため、2014年3月に博報堂生活総研アセアンを開設。ASEAN内の生活者に関する動向調査を本格化させている。(佐藤拓也、写真も)