スナヤン駅に到達 MRTトンネル工事 青年の像から321メートル 24時間体制、雨期でも遅れなし
南ジャカルタ・スナヤンの青年の像の裏から階段を下りると、スディルマン通りの地下に巨大なトンネルが現れた。ジャカルタ特別州の大量高速鉄道(MRT)地下工区の南端の駅、スナヤン駅まで掘削工事が到達した。さらにスナヤン駅〜スティアブディ駅間に進み、作業員千人が2交代制で24時間作業を続けている。
トンネルは地中にもかかわらず蒸し暑い。人1人分の幅の通路を足音を響かせながら進む。内径6・05メートルのトンネルは途中、美しいカーブを描きながらスナヤン駅まで続いていた。
筒型の掘削機「土圧式シールドマシン」で土を掘り進め、セグメントと呼ばれる円弧状のブロックで外壁を組み立てていく「シールドトンネル」の建設はインドネシアで初めて。
内部では六つで一つの輪となる幅1・5メートル、厚さ25センチのセグメントが、パズルのピースのようにぴったりと合わさっている。トンネル上部には地下水が流れているが、セグメントの内部には水を吸収して膨張する特殊なゴムを内蔵。水漏れの心配はない。
日本製の同掘削機2機は1日約10〜12メートルずつ堀り進む。青年の像からスナヤン駅までは321メートル、深さ9〜16メートルで、下り線担当の1号機は12月23日に、上り線担当の2号機が1月30日に堀り終え、2本のトンネルが完成した。
1号機はすでにスナヤン駅内を移動し終え、イストラ駅までの626メートルを掘り進める。2号機は現在、スナヤン駅内部を1日約50メートルの速さで移動中だ。同地下工区に設置する4駅をつなぐシールドトンネルは上下線で計5・2キロになる。
四つの駅は地下2層構造で、地上から地面を掘って建設。出入り口は東西にそれぞれ二つずつ設け、地下1階のコンコース階で切符を買い、ホームのある地下2階に降りる。プラットホームは170メートルで、最大8両編成の車両が利用できるよう設計した。駅はそれぞれ洪水被害を受けにくい場所を選んでおり、工事中もブンドゥンガン駅付近など浸水しやすい場所には擁壁を設置し、工事を進めている。
MRTでは南北線23・8キロのうち、現在15・7キロの第1期工事(南ジャカルタ・ルバックブルス〜中央ジャカルタ・ホテルインドネシア)が進められている。南側9・8キロが高架区間、北側5・9キロが地下区間で、スナヤン駅〜スティアブディ駅地下工区の3・89キロは、清水建設と大林組、地元国営建設ウィジャヤ・カルヤ、ジャヤ・コンストラクシ・マンガラ・プラタマの企業連合で施工を担当している。
清水建設ジャカルタ地下工区建設担当の大迫一也所長は「2018年12月の完成に向けて、作業は順調に進んでいる。プレッシャーもあるが、完成した時の達成感は大きいと思う。日本の技術を生かし、作業員一同、昼夜を通して頑張っている」と話した。(毛利春香、写真も)