【スナンスナン】地元のカカオでチョコ バリ産「ポッド」の工場を訪ねて
バリ島で地元で採れたカカオを使ったチョコレートが作られていると聞いて訪ねてみた。場所はウブドから車で30分、「サルの森」として知られるサンゲ村から数キロ北の「エレファント・キャンプ」の敷地内。ガラス張りの工場の中には、型から取り出したばかりのおいしそうなチョコレートが積み上げられ、その脇で職人たちが手際よく作業を行っていた。
チョコの名前はカカオ豆が詰まったさやを意味するポッド。パーム油などの植物油脂を使わないカカオだけの本格的なものだ。
カカオは周辺の農家が収穫し、木箱で数日かけて醗酵させ、天日で乾燥させたものが運ばれてくる。工場ではその豆を手作業で選別し、専用の機械で粉砕し、ローストし、かくはんする。これでペースト状になったチョコレートの元を大理石のテーブルの上で温度を測りながらへらを使って混ぜていく。この時の素早く、リズミカルな職人の動きに思わず見とれてしまった。口当たりの良さやつやを出す上で非常に大事な工程だそうだ。
工場を作ったのはオーストラリア出身のトビー・ガリットさん。当時、カカオはもっとお金になるコーヒーや丁子に押されて細々としか栽培されておらず、豆の質も悪かった。そこでガリットさんは質の良いカカオを確保すると同時に農家の自立を助けるために、栽培や加工の指導を行った。今では他の生産地に負けない優れた豆を適正な価格で買い取っているという。
今回、施設内を案内してくれた主任パティシェのジョコさんは「インドネシアは世界第3位のカカオ生産地だが、高級チョコレートといえば遠く離れたベルギーなどの外国製ばかり。これからは自分たちで技術を高めて、付加価値の高い優れたチョコレートを作って世界に広めて行きたい」と意気込みを語った。
工場では生のカカオからチョコレートができるまでを見本を使って説明し、テイスティングや実際のチョコレート作りを体験できる2時間のツアーを用意している。また、カフェも併設されているので、ランチやチョコレート菓子を楽しむこともできる。
いくつもの複雑な工程を経てでき上がるチョコレート。それまで何気なく口に入れていたが、これからはしっかり味わって食べようっと。(北井香織、写真も)
◇Pod Chocolate Factory & Cafe
住所 Jalan Tukad Ayung, Carangsari,
Petang, Badung, Bali
☎ 0361.8370888
ウェブ www.podchocolate.com