イ人留学生 3000人超 英語授業の拡充で成果
インドネシア人学生へ日本留学に関する情報を提供する第22回日本留学フェア(主催・日本学生支援機構=JASSO)が、14日に東ジャワ州スラバヤのスクエア・ボールルームで、15日にジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンター(JCC)で開かれる。参加機関は昨年の74から82へ増加。英語プログラムの拡充などを掲げ、留学生獲得を目指す。
JASSOの調査では、日本の大学に留学している2014年度のインドネシア人学生は学部、修士、博士を含めて3188人。12年度は2276人、13年度は2410人と2千人台前半を推移していたが、初の3千人台を突破した。
理由としては、文部科学省が押し進めた「国際化拠点整備事業(G30)」や「スーパーグローバル大学」の効果が表れてきたとの指摘がある。
日本政府は08年、留学生30万人計画を立ち上げた。G30拠点大学に東大、京大、早稲田、慶応などの13大学を採択し、英語だけで学位が取れる英語プログラムの拡充、留学生受け入れ体制の充実などを図ってきた。14年にはG30の流れをくむ事業、スーパーグローバル大学に37大学を選び、23年度まで財政補助をして大学の国際化を進展させる方針だ。
■親近感や文化浸透
日本国内で英語だけで学位が取れる大学は、立命館アジア太平洋大学(APU)が先駆者的存在だ。しかし近年、G30やスーパーグローバル大学に選定された大学を中心に、他大学も英語プログラムを充実させている。東大や京大、九大、早大など各大学は英語コースの拡充を図り、留学生数も増加させている。
インドネシアからの留学先は英語圏のシンガポールやオーストラリアが主流だ。しかしJASSOジャカルタ事務所によると、近年は英語留学でも日本を考慮する学生や保護者が増えているという。
要因としては▽アジアの国同士で親近感を抱きやすい▽国立大学は特にシンガポールなどに比べると学費が安い▽若者に日本文化が浸透している――などがある。「英語プログラムが充実していれば日本へ」という保護者も増えているという。
■中韓も英語で誘致
研究技術・高等教育省高等教育総局のパリスティヤンティ・ヌルワルダニ学生指導局局長は「日本への留学生増加は著しい。ことしも過去最高を更新する見込みだ」と話す。 増加の理由として▽英語プログラムの拡充▽奨学金制度の充実▽日本留学の情報源の多様化――などを挙げる。
一方で近年は日本だけでなく、中国、韓国への留学生も増加。中韓も英語で学位を取れるプログラムを拡充している。パリスティヤンティ局長は「日本は英語プログラムでも中韓と競合することになる」と指摘する。
留学生が学位取得後に帰国しない「頭脳流出」も問題視され、インドネシア国内の教育環境整備も急務となっている。国内と海外の大学の単位交換制度を進め、国内の大学に在籍しながら海外の大学で学んだり、国内の大学で海外の大学の講義を受講したりする機会なども増えている。(藤本迅)