2560万人に健康被害 煙害深刻化 リアウ州は緊急事態宣言

 スマトラ島やカリマンタン島を中心に森林・泥炭火災による煙害が深刻化している。国家防災庁(BNPB)は14日、両島で約2560万人が煙害の影響を受けていると発表。リアウ州知事も健康被害を及ぼす危険レベルに達したとして煙害緊急事態を宣言し、対策を急いでいる。

 防災庁によると、煙害の影響を受けているのはスマトラ島で2260万人、カリマンタン島で300万人に達した。マレーシアやシンガポールにも被害が及んでいる。
 エルニーニョ現象による降雨量の減少で森林・泥炭火災が拡大。13日時点でスマトラ島で944カ所、カリマンタン島で222カ所のホットスポット(高温地点)がある。
 焼失した面積が最も広いのはリアウ州で2025.42ヘクタール、続いて西カリマンタン州が900.20ヘクタール、中部カリマンタン州が655.78ヘクタール。各地の国立公園も延焼している。
 防災庁は11月下旬まで煙害が続くと予想。シティ・ヌルバヤ環境林業相は15日、リアウ州をはじめ煙害が深刻化する6州の知事を集めて対策を協議する予定だ。
 森林・泥炭火災は広範囲で繰り返し発生する場合が多く、先月下旬以降、被害が長期化している。煙害による健康被害や学校の休校、飛行機の遅延・欠航が続き、観光業にも多大な影響が出ている。リアウ州プカンバルのスルタン・シャリフ・カシム第2国際空港やジャンビ州のスルタン・タハ空港などでは視界が確保できず、14日も欠航が相次いだ。
 政府は火災の原因にもなっているアブラヤシ農園造成の野焼きの摘発を強化している。最高裁はこのほど、アチェ州ルスル国立公園の千ヘクタールを焼失させたとして、環境林業省が告発した民間企業に対し、3660億ルピア(約30億円)の損害賠償の支払いを命じる判決を下した。他にも同省はリアウ州ムランティの農園開発企業などを訴え、民事責任を追及する方針を示している。(毛利春香)

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