政府、信用維持に躍起 国営企業が自社株買い 大統領「国産品購入を」 規制緩和も検討

 世界的なリスク回避の動きから株式市場・外為市場での動揺が広がるなか、政府は市場の信用維持のため様々な策を講じている。25日には株価下落を抑制するため、国営企業が市場での自社株買いに踏み切ったことが明らかになった。投資を呼び込むため新たな規制緩和も検討。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は同日、ツイッターを通じて「国産品を購入してルピア安克服に協力しよう」と国民に呼びかけるなど、あらゆる手段を講じて市場混乱を乗り切る構えだ。                                   

 リニ国営企業相は25日、国営企業が自社株買いを始めたと発表した。少なくとも10兆ルピア(約860億円)を使って13の上場国営企業が実施する。具体的な企業名や買い入れ規模、時期は明らかにしていない。同相は同日、国営銀行や国営建設会社幹部と今後の自社株買いについて協議した。
 上場している29国営企業の株価は今年に入って軒並み下落。国営製薬会社インドファルマや国営スズ採鉱会社ティマ、国営石炭ブキット・アサムは年初から約6割下落している。
 自社株買いは一般的に株価の押し上げ要因となる。政府が株式市場を支える意志を示すことで、さらなる下落を食い止める効果も期待できる。前日に4%下落した総合株価指数(IHSG)は25日、1.56%高の4228.501で引けた。
 ただ急な政府の自社株買いの方針に対しては慎重な意見も出ている。マンディリ銀行のブディ・サディキン頭取は協議後、「このような状況では慎重に対処しなければならない。株価下落は一時的なものにすぎない」と述べた。ラクヤット・インドネシア銀行(BRI)のアスマウィ・シャム頭取も「われわれは様子見の立場」と話している。
 財務省によると、政府は今月に入って1.4兆ルピア分の国債を市場で買い戻した。10年物国債の利回りは25日には今年最高水準の9.07%まで一時上昇(価格は下落)した。財務省は買い戻しについて国債価格と信用を維持するためと説明。ただ「介入するのは必要なときだけだ」と過度な介入には慎重な姿勢を見せている。
 中銀参照レートは25日も続落し、69ルピア安の1ドル1万4067ルピアとなり、導入以来初めて1万4000ルピアの大台を超えた。アグス中銀総裁は24日、現在の為替水準について「ルピアは過小評価されている」との認識を示し、「長くは容認できない」と防衛にあらゆる手段を講じる方針を示している。
 ジョコウィ大統領は24日に民間や国営企業経営者など50人以上と意見交換した。企業側からは「企業は(インフラ投資など)政府支出の本格化を待っている」(MNCグループのハリー・タヌスディビヨ代表)といった予算消化を急ぐよう求める声が上がった。
 ダルミン経済調整相は投資を呼び込み、景気を維持するために新たな規制緩和を検討していると述べた。財務省は25日には機械など最先端産業分野への投資に対し新たな法人税の一時免税措置(タックスホリデー)を盛り込んだ財務大臣令を施行し、投資誘致を図っている。(堀之内健史)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly