「干ばつ、今年は最も深刻」 給水車で住民支援 西ジャワ州ブカシ
乾期の影響で国内各地で干ばつ被害が報告されている。西ジャワ州ブカシもその地域の一つだ。「2カ月以上雨が降っていない」。地元住民たちの生活用水が不足し、水位が下がったチパミンキス川付近では、水を求めてやって来た村民たちが洗濯や水浴びをしている。深刻化する状況が連日報じられ、ボランティア団体は給水車で支援を開始した。ブカシの干ばつ状況を追った。
西ジャワ州ブカシ市のカンプン・セトゥ。1日午後、照りつける太陽の下、稲刈りをするヌルチャハヤディさん(28)の姿があった。
ヌルチャハヤディさんは約2ヘクタールの水田を所有する。3500平方メートルが6枚あり、4カ月に1度、2枚ずつ収穫していく。1度で得られるコメは約3トン。1キロ4200ルピアで取引される。この日は、午前6時ごろから稲刈りを始め、わらとコメを手際よく分けた。
ヌルチャハヤディさんによると同地では、約3カ月間、雨が降っていない。水田には自宅の井戸水を引いているが、イネが十分に育つほどの水量を得られない。3トンの収穫量も、通常と比べると6割ほど。昨年も洪水で水田が浸かり不作に終わった。ヌルチャハヤディさんは「洪水被害で全く収穫できなかった時よりもまだマシ。今は太陽に感謝したいくらいだ」と話した。
同県チバルサ村チケトゥックの第1隣組には2日午前8時ごろ、給水車が到着した。バンテン州チレドゥックのボランティア財団「ダルクルアン・ヌサンタラ」が用意した給水車だ。
1台の生活用水の積載量は8千リットル。約250世帯に配ることができるそうだ。コーディネーターのデディ・チャフヤディさん(25)によると、地元紙で同地の状況を知り、給水車2台でチケトゥック内の4カ所を周り水を配った。チャフヤディさんは「1日だけの活動だが、水不足で厳しい状況にある住民の皆さんのために力になりたかった」と話す。
第1隣組長のロフマンさんによると、給水車が来るのは今年に入って2度目。「今年はこれまでで最も深刻な乾期。住民にとって助けになった」と喜んだ。第1、第2隣組には計250世帯が住む。ロフマンさんは「毎年、乾期が来ることがわかっている。県には、早急に貯水地を造るよう求めていきたい」と険しい表情も見せた。
第1隣組に住むエンディン・ロハディさん(62)は、給水車から約190リットルの生活用水を手に入れた。洗濯や水浴び、調理などに使い、3人家族で1週間ほど持つという。
同地では約2カ月間、水不足が続いた。エンディンさん一家はこれまで、同地を流れるチパミンキス川で洗濯や水浴びをしてきた。「衛生上とても悪い。しばらくは普通の水で生活できることがうれしい」と笑みを浮かべていた。(山本康行、写真も 11面に写真特集)