真夜中のバイクボーイズ サフール配りに熱狂する若者たち
ジャカルタ特別州内の目抜き通りを、オートバイやトラックに乗ったムスリムの若者たちが集団で疾走する。それも深夜。となれば暴走族かとも思うがさにあらず。断食に備えた午前4時ごろに始まる夜明け前の食事「サフール」の呼びかけなのだ。エンジン音や歌声、花火の爆発音が聞こえるにぎやかな夜を追った。
サフールは通常、自宅で家族とともに食べる。だが、夜の街に繰り出して路上生活者やごみ収集人に食事を配り、サフールの時間になると、屋外で仲間と食事を取る若者も多い。
南ジャカルタ・ファトマワティにある第41州立職業高校の生徒や卒業生たち200人も、高校名が記された旗を振りながら、街中を駆け回り食事を配った。
4日午後11時に同校を出発、翌5日午前2時ごろ中央ジャカルタのサリナデパート前を通過、西ジャカルタ・コタ駅へ。同校卒業生で大学に通うルンナ・グスティ・ユナルトさん(19)は、後輩たちの安全を見守るために同行した。
サフールの呼びかけについては「自分たちでお金を集め、弁当を買い、貧しい人に手渡す。断食を乗り越えるための一体感が強まります」とルンナさんは話す。道中で配り終えた一行は午前3時ごろコタ駅に到着。白米とアヤムゴレン、テンペの入った弁当を全員で味わった。
午前4時過ぎ、がらんとした目抜き通りをルンナさんらは帰って行った。「日本の暴走族も見習ってほしい」と思えた夜だった。(山本康行、写真も)