「発展性感じる」 中国からの移転加速も 中経連の三田会長
急速な経済成長が続くインドネシアの状況を肌で感じようと、ジャカルタを訪れた中部経済連合会視察団(29社36人)の団長を務める三田敏雄同連合会会長(中部電力会長)は視察最終日の19日、じゃかるた新聞などと会見した。自身として初訪問となったインドネシアの印象について、「自動車普及のスピードが早く人が多いと聞いていたが第一印象はその通りだった。エネルギッシュなもの、発展性を感じた」と述べ、今後が期待できる国と評価した。(堀田実希)
同視察団は、円高、少子化と産業構造が激変する中、ものづくりを強みとする中経連加盟企業が活路を見出せる国の情報を集めようと訪れた。中部地方からのインフラ輸出の可能性について「道路、地下鉄を含む鉄道などの公共輸送機関など十分に可能性がある。電力インフラも、(石炭や天然ガスなど)1次エネルギーはたくさんあるが、それを活用するインフラは十分ではない。ただ、(インフラ事業は)一つ一つが非常に規模が大きいので、日本政府と民間がコラボレーションする形にしなければならないだろう」と話した。
中国で問題となっている反日デモなどを背景に、インドネシアを含むASEAN(東南アジア諸国連合)への投資が一層進む可能性について、「全体としてそのような流れができつつあると感じている。領土問題が起きる前から中国では労働問題などでストが起こり、リスクが顕在化してきた。労賃もかなりの勢いで上がりつつあり、中国にいる利点が相対的に薄れつつあるのが現実。特にインドネシアやタイへの移転というエネルギーが働く可能性が十分にある」との見方を示した。
インドネシアでも労使問題が先鋭化しているが、「そのような懸念はあるが、中国でも、ベトナムでも問題はある」とし、「インドネシアでは問題がブラックボックス化されておらずオープンになっている印象。そのため、依然大きな問題ではありながらも、何らかの形で解決への道筋を模索することができるのではないか」と指摘した。
「手応えを感じるに至るには(視察する)時間が足りない」としながらも、将来的には次世代自動車産業や航空宇宙産業に市場の可能性があると言及。特に国営ガルーダ航空が機材追加を検討していること、東西に約5千キロと国土が広いことから、三菱重工業が名古屋で開発しているMRJ(三菱リージョナルジェット)のような小型旅客機の需要が今後見込めると話した。
一行は同日、ジャカルタを発った。その後、ミャンマーとベトナムを訪問する。