観光ビザの免除開始 日本含む30カ国対象 30日以内の滞在 5大国際空港で 一 部で混乱も
政府は日本を含む30カ国の観光ビザ免除を12日から開始すると、在インドネシア各国大使館に通告した。これにより、観光目的に限り最大30日間の滞在がビザなしで可能になる。ただ事前通告なしの実施で一部では混乱もみられる。
今回の観光ビザ免除では、31日以上の滞在延長はできず、他のビザへの切り替えは原則として認められていない。到着ビザ(VOA)は今まで通りに存続し、31日以上の観光目的の入国や、就労を伴わないビジネス目的などの入国はVOAとなる。
国内の5大国際空港であるバンテン州タンゲランのスカルノハッタ国際空港、東ジャワ州スラバヤのジュアンダ国際空港、バリ州のングラライ国際空港、北スマトラ州メダンのクアラナム国際空港、リアウ諸島州バタム島のハンナディム空港と、バタム島海港などで実施される。
観光ビザ免除の対象になる30カ国には日本の他に、韓国、中国、ロシア、米国、カナダ、フランスなどが含まれている。
ただ、急な実施に現場では一部混乱も見られている。日本大使館によると、スカルノハッタ空港では12日夜現在、日本人に対して観光ビザ免除が実施されたかどうかの確認が取れていない。日系航空会社の関係者は「政府から正式な伝達もまだなく、確認を急いでいる段階」と話す。ジュアンダ空港やングラライ空港では、12日に国外から入国した日本人に対して観光ビザを免除していることが確認された。
今回のタイミングでの実施には、観光客数が増加する7〜8月までに観光ビザ免除を実施し、観光客数を増加させたい意向もあるとみられている。観光省は観光ビザ免除が実施されれば、年間で50万人の観光客数の増加が見込めるとの試算も明らかにしている。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は9日に、観光ビザ免除に関する大統領令(2015年69号)に署名した。政府はこれまでも、東南アジア諸国連合(ASEAN)の9カ国と、香港やマカオ、ペルーなど計15カ国・地域に観光ビザの免除を実施。これで計45カ国・地域に対して観光ビザ免除が実施されたことになる。
日本、インドネシア両国相互の観光ビザ免除については、昨年8月に岸田文雄外務大臣が来イした際に、大筋合意していた。日本は、インドネシアのパスポート保持者に対し、事前登録した人に限り15日以内のビザ免除を昨年12月から実施している。(藤本迅)