農・水産業で連携拡大を プラナンダ・スルヤ・パロ氏 「懸け橋に」日系初の国会議員
ナスデム党のスルヤ・パロ党首の長男、プラナンダ・スルヤ・パロ氏(26)は日本人の血を引く初の国会議員。選挙区は北スマトラ州メダン。昨年4月の総選挙で初当選、10月に就任し半年余り。大の親日家で、政治家としても友好関係を推進したいと抱負を述べた。
プラナンダ氏の母方の祖母は日本人で京都生まれ。祖父はインドネシア人の留学生で、2人は日本で結婚し、プラナンダ氏の母親が生まれて、彼女は6歳まで京都で育った。プラナンダ氏は日系三世で、母親の生まれ故郷の京都は毎年訪問している。日本に親近感を抱き日本人的な感情と感覚を持って育った。
父親はナスデム党のスルヤ・パロ党首。プラナンダ氏も同党議員。父親の政治家としての信念とその経験を尊敬し、「自分はまだ未熟で、経験も無いが、父のようにインドネシアの伝統と精神を重んじる哲人政治家のスタイルを受け継いでいきたい」と語った。
政治家としても「日本との経済・技術協力、文化交流を推進し、日イの懸け橋になりたい」と繰り返した。「今後の交流で最も重要なのは農林水産分野の協力と青少年交流だと思う」と語る。選挙区の北スマトラ州は、農林水産分野の発展の可能性は大きい。そのために日本の技術協力が必要という。
農地拡大にはかんがい施設が必要だが、水源から遠方まで施設を建設するには時間も金もかかる。プラナンダ氏は「日本には上総(かずさ)掘り、という伝統的な井戸掘りの技術があると聞いている。機械に頼らず人の力で深い井戸を掘る技術で、それがあれば、遠くまでかんがい施設を造らなくても、農業用水を確保できる。井戸掘りの技術がインドネシアにぜひとも必要だ」と強調した。
また漁業の技術協力についても、スシ海洋水産相はもちろん、漁民の関心も非常に高いという。
■技術支援は人材育成で
技術開発は人材への投資・活用であり、ひと言で言えば技術教育だ。「農林水産協力は双方の農民・漁民が互いに利益を得るようにしなければならない。ウィン・ウィンにならないと、長続きしない」と強調した。一方「日本の技術支援と教育での協力が必要。青年交流と技術交流を行い、両国の関係強化に尽力したい」と決意を述べた。
「日本は世界一の技術大国」と評価。インドネシアが市場を世界に開放するためには、「日本の協力を得て産業の国際競争力の強化が必要」と繰り返した。
■北海道と沖縄が好き
プラナンダ氏は「日本の文化と自然には魅了される」と目を輝かせた。
日本で特に好きな地方は北海道で、「伝統的な日本の宿屋に泊まり、温泉に入り、素晴らしい大自然と食事を堪能し、精神の集中ができる」と絶賛した。
沖縄への関心も強く、「気候や文化は東南アジアに近く、冬でもそれほど寒くないので私たちにも親しみやすい」と親近感を表明した。また、「武士道文化」にも言及し、「日本人の秩序、規律を重んじる侍精神を手本とする精神革命がインドネシアに必要だ」と持論を語った。(濱田雄二)