赤線復活? 知事が提起 売春発覚相次ぎ 「合法化」へ
ジャカルタ特別州内の相次ぐ売春発覚を受け、アホック州知事が「赤線マンション」の設置を提起して波紋を広げている。地元メディアが報じた。
今月に入り、南ジャカルタのテベットやカリバタで売春グループが相次いで摘発された。テベットでは買春していた男が相手女性を殺害する事件もあった。
これを受け、アホック知事は27日、「売春合法化は一つの解決策だ。どれほど努力しても売春を根絶することはできない」と述べた。これまでにも「赤線復活」に言及してきた知事は州内のマンション一棟に限り売春を許可▽利用者に身分証を提示させ安全を確保▽労働者に定期健診や「宗教ガイダンス」で心身の健康を保障▽職業訓練で転職を促す―などの具体的な施策を披露している。
しかし、コフィファ社会相は「さまざまな形態の売春が横行していると伝えようとしただけ」と一連の発言を独自解釈し、合法化を否定した。社会相は首都のホテルやマンション、自動車内など至る所で売春が行われていると指摘。「より包括的な是正措置が必要」と語った。宗教省や国家警察などと協力して結成した対策チームで売春取り締まりに力を入れる方針だ。
特別州ではアリ・サディキン知事時代から北ジャカルタで州政府公認の売春街が営業していた。99年にスティヨソ知事が閉鎖し、跡地にイスラム関連施設が建設された。昨年6月には東ジャワ州スラバヤ市で東南アジア最大級の「ドリー」が閉鎖されるなど、売春街の閉鎖は時代の要請となっている。
アホック知事は「実現が難しいことは知っている。特に皆が罪悪から潔白であろうとするこの国ではね」と認める。それでも「より良い案があるのか。聞いてみたいものだ」と語り、住民の多くが売春に嫌悪感を抱く一方、売春が横行する状況に一石を投じている。
ただ、知事時代に売春街を閉鎖したスティヨソ元知事は売春合法化を支持すると明言。当時は売春街が住宅街や礼拝所に近かったとして判断の理由を説明している。(田村隼哉)