養殖ウナギ、日本へ輸出 シーガーランド UNSと協力の覚書
日系ウナギ養殖のシーガーランド・ウナギ・ジャヤ(SUJ、本社中部ジャワ州ソロ)とスブラスマレット大学(UNS)はソロの同大で11日、養殖業者が育てたウナギを、SUJが日本へ輸出する覚書を結んだ。SUJはUNSの協力を得て、体長10センチ程度のクロコ以降の養殖を業者に任せることで、生産拡大を目指している。
■業者はクロコを成魚に
SUJはソロでウナギの「ビカラー種」を蒲焼きにし冷凍して日本へ出荷している。UNSとは養殖で協力してきた。両者は地元の養殖業者に養殖技術を提供し指導してきた。
SUJは、養殖が難しいシラスからクロコまで育ててから業者に一旦売却。業者は養殖が比較的簡単なクロコから成魚まで育てた後、SUJが買い戻し、蒲焼きにしている。地元業者はSUJから養殖ノウハウを吸収でき、SUJは過度な投資をせずに、生産量を増やせるメリットがある。
SUJは2011年からソロでウナギの養殖を開始。UNSの他に、同州スマラン県と、東ジャワ州ブリタル市などともウナギ養殖の技術供与や共同研究などを進める覚書を締結している。
ジャワ島南岸には多くのシラスウナギがおり、自治体や大学は日本へ輸出できるとして産業化を目指している。UNS数学・自然科学部のスタント副学部長は「日本で高く売れるウナギは、ジャワ島南岸の経済を発展させる可能性がある」と期待する。
しかし、課題も多い。SUJと提携する養殖業者は60業者あるが、資金不足などのため、実際に養殖を続けているのは10業者ほど。SUJは今年の輸出量を数十トンと見込む。利益はほとんど出ないという。今後提携業者を増やし、養殖技術を向上させることで年間千トン以上の輸出を目指す。
一方、国際自然保護連合(IUCN)が昨年、ニホンウナギを絶滅危惧種(レッドリスト)に初めて指定したことで来年、ワシントン条約の締約国会議で国際取引が規制される可能性が高い。SUJのイコマン・アルタ・ウィナヤ取締役は「ニホンウナギが規制されれば、インドネシアでの乱獲が増える可能性がある。その前に国内のウナギの漁獲や取引の規制の策定を急いでほしい」と話した。(堀之内健史、写真も、7面に関連)