豪雨、数日続く見込み 3000人超避難、警戒呼びかけ 首都圏で洪水
ジャカルタ特別州をはじめ首都圏では8日夜から雷や強風をともなう豪雨が降り始め、9日に入ってもほぼ一日中降り続いた。この影響で、首都の交通機関はまひ。国家災害対策庁(BNPB)のまとめで、住宅への浸水などにより少なくとも3千人以上が一時避難を余儀なくされた。今雨期では首都で初めて発生した洪水で、深刻な被害をもたらしたここ数年の規模には至っていないが、気象気候地球物理庁(BMKG)は「豪雨は数日間、続く見込み」との予報を出しており、当局は市民に警戒を呼びかけている。
BNPBの観測データによると、9日午前6時時点で中央ジャカルタ22カ所、西ジャカルタ18カ所、東ジャカルタ4カ所、南ジャカルタ2カ所の計46カ所が冠水した。高さは、中央ジャカルタのタムリン通りやメダン・ムルデカバラット通りでは10〜80センチに達し、バトゥ・チュプル通りでは60〜80センチと被害が深刻化した。
これらの影響で州営トランスジャカルタは東ジャカルタ・プロガドゥン〜中央ジャカルタ・ハルモニなど4路線で運行を中止。首都圏の通勤電車を運行するKAIコミューター・ジャボデタベック(KCJ)も南ジャカルタ・マンガライ〜中央ジャカルタ・ゴンダンディア間のみに制限した。
河川の水位では、北ジャカルタのパサールイカン水門で208センチにまで上がり、4段階中上から2番目に高いシアガ2の警戒レベルに達した。首都を流れるチリウン川上流にあるカトゥランパ水門(西ジャワ州ボゴール県)や南ジャカルタのマンガライ水門はシアガ3と比較的低かった。いずれも、昨年のシアガ1には達していない。
西ジャワ州バンドンでも豪雨が降り続き、地元の防災局(BPBD)は土砂崩れなどの自然災害に継続して気をつけるよう住民に呼びかけた。
■2階に逃れる
東ジャカルタのカンプンプロでは、9日午前5時ごろから雨が激しくなった。住民のアンドリアンさん(42)は、町内が正午には冠水、自宅1階に水が流れ込んできた。高さ1.6〜2メートルにも達したため、家族とともに2階へと難を逃れ、午後5時過ぎまで水が引くのを待った。
南ジャカルタのポンドック・ラブ通りでは、午前11時には冠水の高さが40センチに。西ジャワ州チネレに向かっていた地元のシモンさん(45)は「通常は車で15分で着くのに、今日は1時間以上かかった」とため息をついた。
■移動、通常の3倍に
9日、空の便でジャカルタに入ったバリ在住の邦人女性は、都心の渋滞に巻き込まれた。
スカルノハッタ国際空港までは予定時間どおりだった。午後零時半に到着、都心へ向かう高速道路は、一部水たまりがあったものの、大雨による大きな影響はみられなかったという。「(南ジャカルタの)スマンギで高速道を降りて一般道に入ったとたん、渋滞に遭った」。結局、通常は1時間で到着するところを約3時間も要した。空港へのアクセスインフラを整備しても都心で詰まるという脆弱(ぜいじゃく)な側面が露見した。(山本康行)