「予定時間超えて議論」 三村会頭、協力関係強化と総括 日商使節団
日本商工会議所(日商)の三村明夫会頭(新日鉄住金相談役名誉会長)らは3日、2日間インドネシア政府と意見交換したことに対し、記者会見を開いた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領やユスフ・カラ副大統領、5閣僚と予定時間を超えて具体的な議論ができたと述べた。インドネシア商工会議所(カディン)とは、今後の協力関係構築に向け前向きな話ができたと振り返った。
ジョコウィ大統領が日商使節団に「具体的にどういう注文があるのか教えてほしい」と要請し、予定の懇談時間より伸びて議論ができたと振り返った。また、各閣僚との対談についても、予定時間を大幅に超え、具体的な話に終始できたとし、「大統領の意向が閣僚にまで行き届いている印象を受けた」と語った。
2014年のインドネシアへの投資額が前年に比べ減少したことに対し、14年は円安の影響で中国への投資が約4割減少しているように、日本全体の対外投資が減少しているため「インドネシア固有の問題ではない」と指摘した。
政府が製造業を重視することについて「生産拠点として輸出を増やすのであれば、コスト面など国際競争力がないと継続的な輸出は難しい」と指摘。「国際競争力をつけるためには、電気料金や運送費の価格是正など、インフラ面での課題は多い」と、政府が掲げる5カ年計画の一つの課題と指摘した。電力問題では、伊藤忠商事などが手がける中部ジャワ州バタン県の石炭火力発電所について、大統領含め早期解決に向けて動いていると述べた。
三村会頭はインフラ整備のために巨額資金が必要になることから、国際的な金融機関からの資金調達を提案した。
また、会頭は「政府はジャワ島と、ジャワ島外のインフラを整備し格差を是正する政策方針を感じた」と述べ、チラマヤ新港の建設や新幹線事業など、ジャワ島内の具体的なインフラ整備については話がなかったと言う。
三村会頭は「日本の強みは大企業と中小企業の連携によって経済発展した背景がある。そういった立場から、支援していきたい」と述べた。
また、「日本商工会議所の強みは9割を占める中小企業。裾野産業に強い組織」とし、カディンから中小企業の協力関係構築について提案があったとし、今後協力関係を模索していきたいと語った。
日商使節団は4日から6日までフィリピンを訪問し、主要政府閣僚、経済団体と会談し帰国する。
▼地元メディアも報じる
日本商工会議所使節団の来イは地元メディアも報じた。
英字紙ジャカルタポストは「今回の訪問で三村会頭は日イ間の経済関係を強化したい姿勢を政府に伝えた」と報じた上で「インドネシアは日イ間のEPA(経済連携協定)の恩恵をまだ享受できていない」と指摘した。地元紙コンパスは「日系企業はインドネシアの投資に興味がある。サレ工業相は日商使節団と5年間で3万5千メガワット分の電力供給を達成する目標について、建設的な議論をした」と報じた。(佐藤拓也、写真も)